信頼が高まっている。本人の自信も深まる。
東京サントリーサンゴリアスのプロップ、小林賢太が2月5日におこなわれる東芝ブレイブルーパス戦で1番のジャージーを着る。
前週の三菱重工相模原ダイナボアーズに続いて、2試合連続で先発の座をつかんだ。
リーグワン元年途中の昨春、早大から加わった。
今季第2節のNECグリーンロケッツ東葛戦で、途中出場ながらデビューを飾った。
第4節(コベルコ神戸スティーラーズ)、第5節(花園近鉄ライナーズ)とベンチスタートが続いた先の2戦連続先発に、「試合に出られるようになり、結果もついてきた」と話す。
昨季は大学卒業を待っての、シーズン途中の加入。出場機会に恵まれないのも仕方なかった。しかし本人は、「試合に出られず悔しかった」と言う。
学生生活最終年は大学選手権準々決勝で明大に敗れた。「あの負けは忘れられない」との思いを秘めていたから、次のステージで暴れたい気持ちを強く持っていた。
「一日でもはやく試合に出たいと考えていたので、次のシーズン(リーグワン2022-23)こそは出場しようと、プレシーズンを(必死に)過ごしていました」
積み重ねてきた成果が今季のパフォーマンスに結びついている。
もともと3番。大学4年生時から1番に転向した。
経験が浅いこともあり、「セットプレーがリーグワンのレベルに達していなかった」と過去の自分を分析する。
スクラムが課題では、出場選手選考の俎上にものることができない。
そう分かっているから、青木佑輔アシスタントコーチとミーティングを重ね、映像を見ながらの指導を受けた。
何が自分の強みなのか。課題はどこだ。現実を知ることから始め、一歩一歩前へ進んだ。
それでも今季開幕の頃は、まだ自信がなかった。
初戦の相手はクボタスピアーズ船橋・東京ベイ。強力FWを持つチームとの対戦にメンバー入りはならなかった。「スクラムがネックとなっている」と受け入れざるを得なかった。
そんな状況に変化を起こすことができたのは、気づきと経験が重なり合い、自分の強みを持てるようになったからだ。
スクラム強化に励む途中、前年の映像を青木コーチと見る機会があった。
「(映像の中の以前の自分は)ヒットができていたんです。そこが、いまはないよね、と。青さんが、そこをできるようにセットアップしていこうと。強みだったところに、もう一度気づかせてもらいました」
PRとしての根幹の部分が安定し始めると、自信も出てきた。
得意のボールキャリーも冴える。先のダイナボアーズ戦ではトライも奪った。
その試合の前半40分に奪ったトライを、「(WTBの)テビタ・リーがゲインしてくれたあとのプレーでした」と振り返る。
ゴール前のラックから出たボールを受け、インゴールに飛び込んだ。
「チャンスと思ったので、全力で(SHの齋藤)直人さんに声をかけた。自分がボールをもらいたい間合いで、うまくもらえました」
リーグワンでのプレータイムが増え、その舞台のレベルの高さをこう話す。
「一人ひとりの選手が持っているスキル、クオリティーが大学時代より一段上です。外国人選手も多く、スピード感がある」
「テレビで見ていた人たちとプレーしている感じ」と楽しそうだ。
体重はサンゴリアス入団時より3キロ増えて115キロ前後。「チーム内の競争に勝ち、試合に出たい」と前を向く。
「優勝できていない年が続いています。サンゴリアスが優勝するために、力になりたい」
アグレッシブさは、チームがもっとも大切にしているスピリットだ。