青いジャージーを着て、ついにピッチに立った。
リーグワンでのデビュー戦は1月21日のリコーブラックラムズ東京戦(駒沢)。12番を背中につけた。
埼玉パナソニックワイルドナイツのCTB、長田智希(おさだ・ともき)がその試合に続き、翌週の横浜キヤノンイーグルス戦でも12番のジャージーを着た。
2試合連続の先発となった。
デビュー戦は38-17の快勝。しかしイーグルス戦は21-19と、ラストプレーで逆転する接戦だった。
ホストスタジアムの熊谷で演じた劇的な試合後、長田は「チームとしてのミスもあった。個人としてもブレイクダウンの寄りなど、ディテールの細かいところにミスが出た」と試合を振り返った。
2022年4月にチームに加入。東海大仰星高、早大時代に主将を務めた男は、チャンピオンチームに何人もいる精鋭たちに囲まれて力を伸ばしてきた。
日本代表をはじめ、各国代表の経験者たちがいる。学ぶことがたくさんある。
最初は、右にも左にも、うしろにもインターナショナルの選手たちがいるその環境に緊張することもあった。
しかし、ともに試合に出るとなれば話は別だ。周囲をオーガナイズするのも自分の仕事。「やるしかない」と覚悟を決めた。
リードされる。競られる。でも、最後は勝つ。
そんなワイルドナイツの強さの根源を日常に感じている。
「もちろんコーチ陣もいますが、普段から選手たちがグラウンドの上で話し、主導権を持って練習しています。それが、試合の中で難しい局面になっても解決できることにつながっていると思います」
世界の舞台で戦っている選手たちとプレーして感じるのは、一人ひとりが余裕を持っていることだ。
だから判断の質もいい。
「それは、コミュニケーションの量が多いことが理由の一つ」と話す。
刺激や発見の多い環境に感謝する。
自信の成長を体感できている。
国内最高峰リーグでプレーしている。「求められることが学生時代より増えた」と話す。
「例えば12番なら、大学時代はボールキャリーの役目が大きかったのですが、いまはそれに加え、パス、キック、ディフェンスのオーガナイズとある」
やるべきことが増えたのだから、スキルもフィットネスもフィジカルも、より高めなければ。
その意識を持って過ごしてきたから、加入時より成長した自分がいる。
その結果が試合出場機会を得ることにつながった。
もともと、自身の強みをボールキャリーとハードワークと考える。
「試合出場を続けていくには、チームから求められるものに応えること」と話す。
「淡々と一つひとつのプレーをやっていくことが大事」
その姿勢をイーグルスとの接戦の中でも崩すことはなかった。それも、2戦続けて80分間ピッチに立ち続けられた理由のひとつだろう。
ロビー・ディーンズ監督は、「デビュー戦から期待に応えてくれると分かっていた」と評価する。
「ラグビーのことをよく考え、きちんと向かい合っている。自分の役割を明確にして試合に臨んでくれています」
意欲も高く、コーチングしがいのある選手と感じている。
また長田の成長は、外国人選手起用のマネージメントにも好影響を与えていると話す。
本人は、「一日一日、成長し続ける。それがすべてだと思っています。学べることも、足りないこともたくさんある」と足元を見つめる。
ワイルドナイツのジャージーを着る資質が高まっている。