東京サントリーサンゴリアスが1月12日、NO8テビタ・タタフのボルドー(フランス/トップ14)への移籍を発表した。
リーグワン2022-23のシーズン終了後にプレーの環境を変える。
タタフは日本代表キャップ15を持つ27歳。
東海大からサンゴリアスに2019年に加入した。ワールドクラスのペネトレーターとして、2023年秋のワールドカップ(以下、W杯)出場を目指している。
移籍発表に合わせ、本人は「このチャンスを掴み取り、サンゴリアスで学んだことを活かして成長した姿を見せられるようにベストを尽くしてきたいと思います。しかし、今はまだ先の事は考えず、今シーズン、サンゴリアスがリーグワンで優勝できるようにベストを尽くしたい」とコメントを出した。
サンゴリアスより数時間遅れ、ボルドーも公式に入団を発表した。
「日本ですべての年齢別カテゴリー代表に選ばれ、現在日本代表で15キャップのパワフルなNO8。ブレイブ・ブロッサムはワールドカップ2023後、ユニオン・ボルドー=ベーグルに合流し、2年間プレーする」
タタフのことを「パワフル」、「フィジカル」、「逞しい」とフランスメディアは説明する。またフランス代表との試合を見たサポーターは、「ブルドーザー」と例える。
ボルドーのロラン・マルティー会長は、就任以来15年かけてこのクラブを築いてきた。
このクラブの正式名称はユニオン・ボルドー=ベーグル。2006年、ボルドーの大学のクラブと、ボルドー郊外にあるベーグル市のクラブチームが合併して誕生した。
2部リーグ(もともとベーグルが在籍していた)からスタートし、2011年にトップ14に昇格。2021、2022年と、2年連続で準決勝進出を果たしている。
2019年に着任し、ボルドーをトップ14の上位に導いたのはクリストフ・ユリオス ヘッドコーチ(以下、HC)だ。
しかし同HCは昨季後半から選手との関係が悪化してきていた。昨年11月初旬、チームは第10節を終えた時点で4勝5敗1分、11位と沈む。
マルティー会長はユリオスHCを解任。「苦渋の決断だった」と言う。
その後のチームは、第12節から4連勝中だ。
特に昨年度のヨーロッパチャンピオンであるラ・ロシェルにアウェーでの勝利したことは、チームに大きな自信を与えた。
「ユリオスHCの解任で選手たちに心理的な変化が起こり、一人ひとりが責任感を持つようになった」とマルティー会長はレキップ紙に説明している。
年末にはフランス代表WTBダミアン・プノーの来季加入を発表。シーズン途中のHC解任でデリケートになっていたクラブ内の雰囲気は、一気にポジティブに変わった。
この移籍についてボルドーのキープレーヤーであるSOマチュー・ジャリベールは、「ダミアン(プノー)のようなXファクターになってくれる選手がこのクラブを選ぶということは、このクラブが選手にとってどれだけ魅力的かということがわかる」と話している。
元フランス代表FWコーチで、最近ではバイヨンヌをトップ14に2度昇格させたヤニック・ブリュが来季からHCに就任することも発表された。
同時に、現在フランス代表のパフォーマンス・ディレクターであるチボー・ジルーもW杯後にボルドーに加入する。
ジルーの仕事ぶりは、フランス代表選手のフィットネスの仕上がり具合を見ても分かるように、大変評価されている。
プノーは、移籍先にボルドーを選んだ理由の一つにジルーの存在をあげている。
来季に向けて着々と補強を進めてきたマルティー会長は、「トップ14にいるだけで満足するクラブではない。常にさらなる高みを目指している」と話す。
地元メディアは、その手腕を一様に高く評価している。
若いクラブではあるが、すでに地域に定着し、今年最初のホーム試合となったバイヨンヌ戦ではチケットが完売。
約3万2500人のサポーターがスタジアムでチームを応援した。
「僕たちはまだまだ成長中のクラブだ。サポーターも応援してくれている。昨日のバイヨンヌ戦でもサポーターと素晴らしい時間を共有できた。この最高の雰囲気の中でプレーできるのは快感だ」
バイヨンヌ戦の翌日にラジオ出演したジャリベールの言葉からも、チームが良い方向に向かっていることが感じられる。
フランスのシーズンは長くタフな戦いが続くが、タタフの活躍する姿を見るのが今から楽しみだ。
持ち前のフィジカルの強さを発揮してほしい。