埼玉パナソニックワイルドナイツ×トヨタヴェルブリッツ
今季開幕から唯一の3連勝チームと、直近の2試合に敗れているチームの戦い。しかし接戦となるのは間違いないだろう。
埼玉パナソニックワイルドナイツ×トヨタヴェルブリッツの一戦(1月15日/熊谷)は、リーグワン第4節の中で高い注目を集めるカードのひとつだ。
初戦の東芝ブレイブルーパス東京戦、第2節の静岡ブルーレヴズ戦と逆転勝ちを収めたワイルドナイツは、第3節では快勝してみせた。開幕2連勝と好調の三菱重工相模原ダイナボアーズ相手に40-5と快勝した試合。今季初めて10番のジャージーを着た山沢拓也が強みを出した。この人が司令塔の位置に立つとボールがよく動く。攻撃的なスタイルでチームに勢いを与えた。特に前半18分のトライは、巧みなキックパスを通して生まれたもの。後半36分には自らトライも奪い、計13得点を挙げた。
南アフリカ代表LO、206センチのルード・デヤハーもこの試合で日本デビューを果たした。昨季王者のワイルドナイツの強さは、個々がお互いの質の高さを理解し、呼応しあっているところにある。HOの坂手淳史主将、堀江翔太、SOの山沢、松田力也だけでなく、それぞれのポジションにタイプの違う選手が揃う。選手層の分厚さがそのままチーム力の深みにつながっている。
ヴェルブリッツも、国内外の代表キャップホルダーがFW、BKに散らばっており、個々の才能では負けていない。そんな潜在能力の高いチームが目の色を変え、連敗脱出に挑むのだから試合は白熱して当然だ。
SOティアン・ファルコーンが好調だ。自ら走ってよし、ボールを動かしてよし。開幕節から3戦連続で10番のジャージーを着て躍動し、第3節終了時で44得点(4G12PG)はリーグトップの数字だ。
チームは3試合で6トライと本来の力を出せていない。NO8姫野和樹のペネトレート、ハードワーカーのFLピーターステフ・デュトイ、最後尾で戦況を見渡すFBウィリー・ルルーと武器は多いのだから、それらの力を束ねれば爆発力のあるアタックが見られるはずだ。
ディフェンスから勝利への道を描く王者と、頂点を掴むためには絶対に3連敗だけは避けたいヴェルブリッツの激突は、僅差のまま勝負の時間帯に突入するだろう。
コベルコ神戸スティーラーズ×東京サントリーサンゴリアス
ともに2勝1敗で今季を滑り出したコベルコ神戸スティーラーズと、東京サントリーサンゴリアスは、互いに攻め合う80分でファンを楽しませてくれそうだ。1月14日、ホストスタジアム(ノエビアスタジアム神戸)で昨季準優勝チームと戦うスティーラーズでは、BKのフロントスリーが注目される。
SO李承信は昨年日本代表に選出され、国際舞台を経験。プレーの幅と視野が広がったことで、もともと持っていた柔らかな動きがスケールアップしている。
ともに新加入のCTBコンビ、マイケル・リトルとナニ・ラウマペのコンビネーションは試合を重ねるごとに高まっている。SOと両CTBの高い攻撃力でモメンタムを生むことができそうだ。
開幕からの3戦で131得点はリーグ2位、108失点はワースト3位と大味なところが気になるが、この試合にも攻め勝つ意識で臨むだろう。SH中嶋大希がリーグ2位の4トライを記録しているところからも、チームの前へ出る意識の強さが伝わってくる。
サンゴリアスは開幕節にクボタスピアーズ船橋・東京ベイに敗れたものの、第2節以降は2連勝。特に、第3節の横浜キヤノンイーグルス戦では前半18分にSOアーロン・クルーデンをレッドカード(相手頭部への危険なプレー)で失い、その後の時間を14人で戦うことを強いられた。
しかし最終スコアは32-23。相手に数的優位というアドバンテージを与えながらも、勝利を手にするチーム力を発揮した。
窮地の状況を、全員のハードワークで脱したサンゴリアス。その中でも齋藤直人、流大というSHふたりの貢献度は高かった。司令塔のいなくなったピッチ上のゲームメイクを受け持った。齋藤は臨時で巡ってきたゴールキッカーの役目も果たした。
スティーラーズとの一戦は、どちらが精度高くアタッキングラグビーをやり抜くかの勝負。裏を返せば、ディフェンスでどれだけ体を張れるかが重要。
ラグビーは奥が深いなあ。
静岡ブルーレヴズ×リコーブラックラムズ東京
前節の東芝ブレイブルーパス東京戦こそ16-29も、開幕から5点差、1点差と惜敗の続いている静岡ブルーレヴズがリコーブラックラムズ東京と戦う試合も楽しみだ(1月15日)。
ホストスタジアム(ヤマハスタジアム)での今季2試合目。選手たちもファンも、勝利に飢えている。武骨なFWが体を張って前に出るだろう。
NO8クワッガ・スミス共同主将と、新加入選手でリーダーシップ抜群のSHブリン・ホールが、叩き上げの選手たちを鼓舞する。スタジアムが熱くなることは約束されている。
ただ、ブラックラムズも黙っていない。前節のヴェルブリッツ戦での勝利(25-29)は今季初勝利。昨シーズンの第8節、2022年3月6日のNECグリーンロケッツ東葛戦以来の勝ち星だった。
プレーヤー・オブ・ザ・マッチを受賞したFL松橋周平がいい顔をしていた。メイン平(FB/WTB)ら、日本代表定着を目指す若手は伸び盛りだ。チームには良い雰囲気が漂う。
この週末もリーグワンに注目したい。
「ラグビー リーグワン 22/23」
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https://jod.jsports.co.jp/rugby/leagueone
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