とにかく仕掛ける。
リーグワンの開幕を昨年12月に迎えたばかりの東芝ブレイブルーパス東京は、1月6日、来季から加入するリッチー・モウンガの入団会見を実施した。ニュージーランド代表で正SOを担う本人が、本拠地内の施設で意気込んだ。
「東芝にチャンスをいただけたこと、(本拠地の)府中を我が家と呼び、東芝でプレーするチャンスをいただけたことに感謝します。実際に日本に来るまでまだ時間があります。それまでもっといろいろなワークが施されると思っています」
世界的なプロラグビーマンの市場は、4年に一度のワールドカップを区切りに大きく動く。リーグワンにあっても、そのタイミングで大物獲得を検討するチームは複数ある。ここで昨季4強のブレイブルーパスは、水面下で動く以外のアクションを起こした。
オールブラックスことニュージーランド代表として活躍するシャノン・フリゼル、さらにはモウンガの同時加入を発表。モウンガに至っては、今度の来日機会を設けた。7日には、第3節をおこなう神奈川・等々力陸上競技場でファンへ挨拶する予定だ。
6日の会見で、モウンガは「私の出身地であるクライストチャーチからも多くの選手が来ていることも、東芝を気に入る理由になりました」と話した。こう展望した。
「まずフィールド上では成功をもたらす。東芝らしく勝つ。魅力的なスタイルで勝つ。高いレベルの考えが現れたようなラグビーをする。同時に、選手が見たものに対して自由に反応し、表現できるラグビーを目指したいです。フィールド外では家族で経験できるすべてを経験したい」
ボーデン・バレット、ブロディ・レタリック、サム・ホワイトロックといった、すでに日本でのプレーを経験したオールブラックス戦士へも日本についてヒアリング済みだった。
「すでに自分がわかっていたことを確信した形でした。文化、ラグビースタイル、人々、自分の家族を連れてくるのに素晴らしいところだと教えてくれました」
ニュージーランドでは、自国でプレーする選手のみが代表に選ばれる。そのため現役オールブラックスが来日する際は、短期契約を結ぶことが多い。ワールドカップイヤーまでに帰国し、大舞台への出場へ十分なアピール期間を設けるためだ。
しかし、これからブレイブルーパスへ来るモウンガとフリゼルは、複数年契約をかわした。モウンガは言った。
「東芝にいる間の唯一のゴールは東芝の優勝です」
薫田真広ゼネラルマネージャーは、過去にクラブを支えたレジェンドの名を挙げて話す。
「これまで東芝では、アンドリュー・マコーミック、スコット・マクラウド、デイビッド・ヒル、リチャード・カフイなどの外国人選手が長く在籍し、レガシーを残してくれた。(モウンガとフリゼルにも)プレーだけではなくリーダーシップ、レガシーを残してほしい気持ちで契約しました」
同じポジションでプレーする日本人選手の育成にも、寄与して欲しいという。
「(モウンガへの期待は)チーム力を上げることと、(周りの)10番を成長させるというダブルスタンダードで考えています」
現行の規定上、出場枠に関係する「カテゴリー」はフリゼル、モウンガともに「C」に位置付けられる。他国代表歴を持つ選手が対象の「カテゴリーC」の選手の保有は、各クラブ3人までとされている(故障者の穴埋めを除く)。
ブレイブルーパスにはすでに「カテゴリーC」の選手が3名、在籍する。モウンガとフリゼルの加入により、既存の選手の去就も注目される。薫田は「まだ契約があるので詳細は控えさせていただきますが、2名が交代となります」と応じた。
切れ味鋭いランが魅力のモウンガは、新時代のブレイブルーパスの象徴となるだろうか。