ワールドカップ(以下、W杯)イヤーが始まった。1月7日には、2023年になって初めてのリーグワンの試合がおこなわれる(2022-23シーズン第3節)。W杯へ出場したい選手たちの情熱と、年末年始も調整に時間を費やしてきたチームの本気。好ゲームが展開されることは約束されている。
東京サントリーサンゴリアス×横浜キヤノンイーグルス
その中でも激戦必至と思われるのが東京サントリーサンゴリアス×横浜キヤノンイーグルスだ。1月7日の14時30分、味の素スタジアムでキックオフとなる。
それぞれ、開幕から1勝1敗と、1勝1引き分けという成績。トップリーグ時代の2017-2018年シーズン以来の頂点を狙うサンゴリアスと、未経験のトップ4入りを目指すイーグルス。国内最高峰リーグのトップレベルを見据える両チームにとって、どうしても勝ちたい試合だ。特にホストスタジアムでの一戦となるサンゴリアスは負けられない。強い姿を地元でファンに見せたい。勝利の持つ意味は大きい。
プレシーズンマッチでの負傷により戦列を離れていたSOアーロン・クルーデンが初めてサンゴリアスの司令塔を務める。元オールブラックスで50キャップを持つ。コベルコ神戸スティーラーズから移籍しての初登場も、もともとゲームコントロールの能力が高いプレーヤー。周囲の選手の力を引き出しそうだ。
SH齋藤直人共同主将は、今回の試合の翌日に34歳となる世界的10番を評して「ボールのもらい方がうまい」と話す。クルーデン本人は「年齢とともに経験値が高まっているだけでなく、実は最近、すごく体もフィットしている」と表情が明るい。新天地の印象を、「個々のチームへの思いと、それぞれが責任を果たそうとする意識が強い」と話し、サンゴリアス初試合が近づいているワクワク感を口にした。
2022年秋のヨーロッパ遠征に参加するなど、プレシーズンの長い期間チームを離れていた日本代表の選手たちの多くも、サンゴリアスへのフルコミットとなる。特に代表選手たちは一人ひとりの意識が高い。強豪国との対戦を経て、フィジカリティの強さをさらに高めてW杯に臨む意欲にあふれている。CTB中村亮土もその重要性を理解し、日常から高いハードルを設定してさらなる向上を目指しているという。その高まりは、チーム力の上昇に直結しそうだ。
ただ、チームには怪我人も多い。その状況を踏まえて新任の田中澄憲監督は、今季のスローガンを『SUNGOLIATH PRIDE -ALL FOR VICTORY-』と定めて勝利を追求しながらも、「最後に勝つ」イメージも頭の中に持つ。
イーグルス戦は、戦う舞台、相手の好調さを考えれば、伝統的に貫くアグレッシブ・アタッキングラグビー全開にして絶対に勝つべき相手。プライドを懸けた戦いは興奮を呼びそうだ。サンゴリアスが牙を剥いて戦う理由のひとつには、イーグルスを率いるのが元サンゴリアス指揮官の沢木敬介監督ということもあるだろう。さらに今季から、こちらも以前はサンゴリアスの仲間だったCTB梶村祐介が主将を務めている。お互いが熱くなって当然の構図が、そこにある。
今季のイーグルスは開幕から進化を見せている。開幕節のスティーラーズ戦に39-30と快勝すると、第2節では前週にサンゴリアスを31-18と下したクボタスピアーズ船橋・東京ベイと引き分ける(27-27)。
新加入の南アフリカ代表SHファフ・デクラークは攻守に攻撃的で、入団前に予想していた以上にチーム力に影響力がある。日本ラグビーを代表する10番、SO田村優も好調。勢いがある。昨シーズンもシーズン序盤は好調な滑り出しも、最終的には勝たなければいけない試合で勝利を手にできずトップ4入りを逃した。
沢木監督はそのプロセスを振り返り、「選手層も含め、そこに到達する資格がなかった」と言った。今季は、その足りなかったものを手に入れつつある。
ヴィリアメ・タカヤワ、イノケ・ブルアら、外国出身のパワーを持ち、大学時から日本でプレーする選手が増えて戦力に厚みが増して、強力な布陣を組むことが可能になっている。
『ウイナーズマインドセット』というチーム内スローガンを打ち出し、プレシーズンから勝利にこだわり、勝ち癖をつけてきた成果は、開幕からの2戦を見ても伝わってくる。
1月7日の対戦は、プライドと勢いがぶつかり合う激闘の80分が約束されている。そして、今シーズンの勢力図が明確に示されそうな気がする。
埼玉パナソニックワイルドナイツ×三菱重工相模原ダイナボアーズ
開幕から2節を終え、全勝チームは昨季王者の埼玉パナソニックワイルドナイツと三菱重工相模原ダイナボアーズだけという今シーズン。1月7日には、その両チームがワイルドナイツのホストスタジアム、熊谷で激突する。
ディビジョン2から昇格したばかりながら、好スタートを切ったダイナボアーズは、グレン・ディレーニー ヘッドコーチが新指揮官となり、ディフェンスが強固になった。芯が通ったチームは結束を高め、派手さはないが、勝利をつかむチームに変貌しつつある。ワイルドナイツは自分たちが理想とするスタイルで頂点に立つチーム。その相手との戦いは得るものが多い80分となるだろう。
初戦で東芝ブレイブルーパス東京に0-13から逆転勝ちし、2戦目の静岡ブルーレヴズ戦にも同様の勝ち方をしたワイルドナイツ。特にブルーレヴズ戦は終了間際の逆転で15-14という辛勝だった。プレシーズンを共に過ごしていなかった日本代表組と歯車がガッチリ噛み合っていないところがあるものの、負けたない試合を重ねて盤石の強さを手に入れるチーム。SO松田力也の復帰も心強い。すぐにギアを上げていくだろう。
東芝ブレイブルーパス東京×静岡ブルーレヴズ
そのワイルドナイツを追い詰めたブルーレヴズと、ブレイブルーパスの一戦(1月7日/神奈川・等々力)は、ごまかしのないぶつかり合いで観る人を惹きつけそうだ。
ブルーレヴズのFWは今年も激しい。スクラムへのこだわりはハンパなく、ハードワーカーが揃い、地上戦に無類の強さを発揮する。SHにリーダーシップ抜群のブリン・ホールを得て、その力は、余すことなく相手チームにぶつけられる。
ブレイブルーパスはNO8リーチ マイケルが代表活動からの好調を維持している。LOワーナー・ディアンズも20歳とは思えぬ落ち着きと激しさを出し、チームは『猛勇狼士』のキャッチフレーズに相応しい無骨なストロングスタイルをこの試合で見せるはずだ。
試合がフルタイムを迎えた時、観戦者はいっきに体の力が抜けるだろう。自分が肩に力を入れ、試合を凝視した80分を過ごしたことに気づく。
シーズン序盤からこれだから、リーグワンは面白い。
「ラグビー リーグワン 22/23」
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