前へ出続けて栄冠をつかんだ。
1月6日に愛知・パロマ瑞穂ラグビー場で第73回全国地区対抗大学大会の決勝がおこなわれた。
頂点に立ったのは東京学芸大学(以後、学芸大)。61-5と中部大に大勝し、3年ぶりに大会を制した。
水色×白のジャージーを着た学芸大は試合序盤から高い集中力を見せた。
スクラムで力を結集させる。
大きな相手にはダブルタックル。キックを全力で追った。
先制点は12分だった。迷いのない出足から奪った。
敵陣深い位置で相手のキッカーに対し、鋭く前に出てチャージしたのはLO安達航洋。両手をのばしてジャンプした190センチの手にボールは当たり、弾んだ。
それを掴んだのがCTB梅本魁成主将だった。そのままインゴールまで走り切った。
FB岡田喬一のゴールキックも決まり7-0とする。
岡田は17分にも得点を挙げた。40メートルを超えるPGを正確に蹴り込み、10-0と差を広げた。
スクラムの強さが際立ったのは、追加点を奪ったときだった。
ピッチ中央でのスクラムを5メートル以上押したところから攻める。左に展開した後、右へ。SO渡部颯斗はタテに出て防御を破ると、そのままトライラインまで走った。
スコアは17-0となった。
学芸大のプレッシャーが強かったのは、キックチャージに何度も成功したことにも表れていた。
タックルからターンオーバー。そこから攻めるシーンも複数回あった。
前半38分、42分に2トライを追加し、29-0でハーフタイムを迎えた。
そして、後半の入りも素晴らしかった。
1分にPR宮崎怜嗣が奪ったトライは、キックを複数のランナーでチェイス。圧力をかけ、ターンオーバーしたのがきっかけだった。
宮崎は5分にも追加のトライを挙げた。
FB岡田の50/22キックで得たラインアウト後のモールを押し込み、最後に背番号1がインゴールにボールを押さえた。
41-0と大きくリードした学芸大は後半26分、中部大に1トライを許したものの最後まで集中力を保った。
最後の10分強で3トライを追加。最終的に計10トライを奪っての大勝だった。
試合後、岩本監督はキックオフからの入りの時間帯を制したことが大きかったと話した。
「学生主体のチーム。戦術、練習メニューも自分たちで考え、私はアドバイスぐらい」と笑顔を見せ、選手たちの遂行力を称えた。
予想以上の大差で決勝を制したのは、対戦予定だった準決勝の相手が棄権(コンディション不良)となり、疲労が少なかったことも理由のひとつかもしれない。
また、中部大は下級生の選手も多く、新チームへの切り替え途中にあった。
しかし長江有祐監督、小島知樹主将とも学芸大のパフォーマンスをリスペクトし、勝利を祝福した。
優勝チームの試合登録メンバーには19名の名前しかなかった。
大学院生もいる。
学芸大のプレーからは、ラグビーの魅力が伝わってきた。