6大会ぶり7度目の頂点に立つべく、手堅い選択をする。
昨年12月27日から年をまたいでおこなわれる全国高校ラグビー大会にあって、東福岡高が堅陣を敷いている。
シード校として登場した30日の2回戦では、適宜、キックを蹴り防御の網を張った。
敵陣で相手の反則を誘ったり、攻守逆転を狙ったりし、効率よく加点した。新潟の開志国際高を61—7で下した。
FLの大川虎太郎主将は言う。
「自分たちは絶対的にディフェンスに自信がある。相手にボールをあげても、取り返す自信がある。敵陣に入ればトライを獲っていかなければならないので(パスを)回していくのですが、なるべく自陣ではプレーしたくないので(キックを多用する)」
試合終盤にはある程度の点差をつけるなか、ペナルティーゴールで着実に3点ずつ刻んだのも印象的だった。この大会では中1日で試合がある。タフな日程下、コンタクトの回数を減らして消耗を避けたかったのだと大川は言う。
続く1月1日の3回戦では、風下の前半にキックを蹴る頻度を減らした。使うグラウンドが2回戦時の第1グラウンドから、より風の舞う第3グラウンドに変わったためだ。
自陣からでもラン、パスを多用し、前半20分には相手のキックオフからノーホイッスルトライを決めた。対する秋田工高のベンチを沈黙させた。
果たして52—3と快勝する過程では、初戦と同じように防御も光った。
向こうに得点機を与えながら、接点周辺で鋭い出足を重ねたことでわずか3失点に抑えた。
特にLOの舛尾緑がタックルで魅した。抜け出しそうな相手走者のランコースを読んで止めたり、防御のラインから飛び出して突進役を押し返したり。
「自分のなかでは、皆のほうがもっとタックルに行っていたと感じます」
前回大会では失意にさいなまれた。優勝候補の最右翼と見られながら、1月5日の準決勝で、のちに頂点に立つ東海大大阪仰星高に22−42で敗れたのだ。舛尾は続ける。
「正直、去年(前年度)は負けると考えたことがなくて…。練習試合でも危ない試合がなくて、負けそうと思った初めて日が仰星戦で、『あ、負けってこんな感じなんだ』という感じです」
以後は、「常に1月5日(準決勝)を意識。ここを勝たないと目標としている日本一にはなれない。監督もそう意識していました」。普段の練習では攻めより守りに時間を割くようになり、それを最近の試合内容にも反映させる。舛尾はこうも言う。
「もともと皆、アタックの能力はある。ディフェンスの練習が(全体の)7割になった。僕のなかでは、それでやっとアタックとディフェンス(のバランス)が5:5になったかなと」
3日、第1グラウンドでの準々決勝では佐賀工高と激突する。タフに身体を張る舛尾は「1月5日に行くためには、1月3日も勝たないといけない。対策、練っていきます」と気を引き締めた。