ラグビーリパブリック

早大・相良昌彦、怪我で試合に出られないなかでの成長を語る。

2022.12.29

戦列に復帰。チームを勝利に導いた相良昌彦主将。(撮影/松本かおり)



 苦難を乗り越えた。

 早大ラグビー部は2022年12月25日、大学選手権の準々決勝で明大に辛勝。向こうのスクラム、簡潔な連続攻撃の圧を食らいながら27—21のスコアで逃げ切った一因には、相良昌彦主将のビッグプレーが挙げられる。

 FLで先発した相良は後半29分頃、接点でのプレッシャーでピンチをしのいだ。

 ラストワンプレーも魅した。危機を察知し、自陣ゴール前右をカバー。突破を図る相手WTBの石田吉平が持つ球へ絡み、ターンオーバーを決めた。

 会場の東京・秩父宮ラグビー場で、天を仰いだ。

「先輩たち、(今年の)4年生の顔が(脳裏に)浮かびました」

 前年度は、加盟する関東大学対抗戦Aの最終節で明大を17—7で撃破。しかし、その1か月以内に開かれた選手権の準々決勝で再戦したら15—20で敗れた。

 伝統的な好敵手が同じ時期に2度も戦うシチュエーションは今季も変わらず。選手権で勝った早大は、対抗戦でぶつかった際は21—35で負けていた。

 戦術的なアップデートがなされていたうえ、対抗戦での対戦時にはプレーしていなかった相良がこの日から実戦復帰していた。

 そう。相良は一時、怪我で戦列を離れていた。もどかしい思いを抱えていてもおかしくない雌伏期間には、むしろリーダーとして成長できたと話す。

「夏まではずっと怪我をせずにやってこられたんですけど、シーズンに入ってからうまくいかなくて…。ただ逆に、(離脱によって)チームを1歩、引いて見られた期間が自分のプラスになった。もともと自分は、とにかく厳しくやればいいという考えでした。でも、それが正解という人間が、全員じゃないと(改めて)感じて…。ひとりひとりへの接し方を変えるように、チームを俯瞰して見られるようになりました」

 その話にうなずいたのは、就任2年目の大田尾竜彦監督。現在故障中という鏡鈴之介副将の名も挙げ、指導する学生たちの進歩を語った。

「昌彦は、春には結構、(周りに)厳しいことを言っていた。本人のなかでは、去年の負けから得たもの(反省点)が『練習中の厳しさ、緊張感』で、それを体現してくれていた。ただチーム作りにおいては、それ(厳しさ)が必要な時期もあればそうではない時期もある。そこに、気づいたのかなと。それは昌彦だけではなく、怪我をして試合に出られない鏡も出られないなりに自分の仕事を果たしている。そうして、(チームの)まとまりが出ているんじゃないかと感じます」

 準決勝は例年通り、1月2日に東京・国立競技場でおこなわれる。
 早大がシーズンを継続させて年を越すのは、2季連続のファイナリストとなった2020年度以来。2019年度以来17度目となる日本一達成に向け、まずは京産大とのセミファイナルを見据える。


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