3週間空いての再戦でリベンジを果たした。
12月4日におこなわれた早明戦で21-35と敗れた早大が、12月25日におこなわれた大学選手権準々決勝で明大に27-21のスコアで勝った。
秩父宮ラグビー場で2試合がおこなわれた同日。第1試合は接戦となった。
先制したのは早大。前半唯一のトライは11分に生まれた。
ゴールラインドロップアウトのキックをレシーブして攻撃に転じる。フェーズを重ねた後、いっきに攻撃のスピードを高めたのはSO伊藤大祐(正しくは示へんに右)だ。
後方から走り込んできた10番は左を攻める。パスは繋がり、最後はWTB松下怜央がタッチライン際を走り切った。
20分、明大にラインアウトから攻められてCTB齊藤誉哉にトライを返されるも、CTB吉村紘のPGがチームに勢いを与えた。
28分、30分と、40メートルを超えるロングキックを決める。
前半終了間際にモールからHO松下潤一郎に走られてトライを奪われるも、13-14でハーフタイムを迎えたのは描いたプランに近いゲーム運びだった。
早大の大田尾竜彦監督はこの日、「50分ガマンして、そこからギアを上げよう」と考えていた。
選手たちは、それを実行した。
後半17分のWTB松下のトライはスクラムから生まれた。
その状況を作るきっかけを作ったのは、その9分前に投入されたPR井元正大だ。スクラムで反則を誘い、敵陣に入るPKを得る。
トライ直前のスクラムもしっかり組んだ。
20-14とした2分後には、SH宮尾昌典が自陣22メートルライン付近で明大のパスをインターセプトし、いっきにトライラインまで走り切った。
差は27-14と開いた。
28分、早大は自陣ゴール前でのスクラムを押され、ペナルティトライを奪われて27-21と差を詰められた。
しかし個々の選手たちが持ち場で役割を果たす。「反則で自陣に釘付けとなる展開は避ける」ための選手起用も当たり、22メートルライン内の攻防もしのぎ切る。
最後は明大WTB石田吉平主将が持ち込んだボールを早大FL相良昌彦主将が奪い取る。
直後に試合終了を告げるホイッスルが鳴った。
石田主将は最後のシーンを振り返り、「体の思うままに動いた結果。勝ち切れなかったのは自分の責任。もっと(チームを)引っ張っていかないといけなかった」と、言葉の端々に悔しさを滲ませた。
早大が掲げたこの日の試合のテーマは、「ワンビジョン、ワンチーム」。大田尾監督は、「その時の状況に何をするのか。全員でそれを理解して動くことが大事だった」と話した。
ケガで戦列を離れており、久々にピッチに立った相良主将は、「一歩引いたところからチームを見られたのは良かった」と話し、「自分がいない期間にチームの結束力が高まったことも感じた」。部全体の成熟度が増してきたことを口にした。
第2試合では、大学選手権連覇を狙う帝京大が完勝した。
同志社大から8トライを奪い、失点ゼロ。危なげのない戦いぶりだった。
ただ勝者にとっては満点の試合内容ではなかった。
前半の序盤、中盤、ハーフタイム前とバランスよくトライを重ねたけれど、同志社大の積極的な攻守の前にミスも少なくなかった。
前半は19-0だった。
後半は3分と9分にHO江良颯が連続トライを奪って29-0。
22分にはスクラムで猛烈なプッシュを見せた後にSO高本幹也がトライを奪い、32分にはCTB二村莞司、40分には五島源もインゴール入った。
相馬朋和監督は「(関東大学対抗戦の最終戦から)試合間隔があいて反則が多くなってしまった。修正して次戦へ臨みたい」と話し、頂上までの残り2戦へ向け、落ち着いて歩を進めるスタンスを示した。
同志社大も結果的に無得点に終わったものの、帝京大陣に何度も攻め込んでスタンドを沸かせた。
前半30分前後から敵陣に入り、果敢にボールを動かし続けた時間帯は、個々の才能とチームの意思統一が感じられた。
後半にも自分たちの時間を作った。
今季から指揮を執る宮本啓希監督は、「ファイティングスピリットを見せてくれた」と選手たちの健闘を称えた。
試合後にチーム全員がスタンドに挨拶しに行った時に起きた拍手は、「伝わるものがあったから」と話した。
FL梁本旺義主将も、「部員全員が勝つつもりでした。そのために、たくさんの準備もしてきました」とハッキリ話した。
その気持ちを1年間持ち続けて練習に取り組めば、必ず結果が出ると信じている。