ラグビーリパブリック

ジャパン入りへ爆走。スピアーズ木田晴斗が誓う「追い越していかないと」の思い。

2022.12.16

10月下旬、豪州・レッズとのプレシーズンマッチで躍動した木田晴斗(撮影:福島宏治)


 3季連続なるか。

 ラグビー国内最高峰のリーグワンは12月17日、各地で開幕。18日に東京・味の素スタジアムで初戦を迎えるクボタスピアーズ船橋・東京ベイは、旧トップリーグ時代から2シーズン連続でリーグの新人賞選手を輩出している。

 2021年は、関東大学リーグ戦2部の朝鮮大にいたFBの金秀隆が受賞。リーグワン元年にあたる2022年1月からのシーズンでは、同1部の法大で主将だったWTBの根塚洸雅がベストラインブレイカーとの「2冠」を達成した。

 次々と台頭する若き実力者の群れにあって、ひときわハングリー精神をあらわにするのが木田晴斗。2021年度の立命館大で主将を張ったWTBで、昨季は当時規定により出場が解禁となった4月1日以降、計5試合に出場。2トライを挙げた。

 3度目の先発となったリーグ戦最終節の埼玉パナソニックワイルドナイツ戦(5月7日/埼玉・熊谷ラグビー場/●14-35)では、生来の凄みを垣間見せたような。

 自陣ゴール前左で相手のキックパスが飛んでくる。目の前には対する大型CTBで日本代表のディラン・ライリーが迫っていた。

 ここで木田は「マーク」と叫び捕球。フェアキャッチの成立だ。ルール上、いったん流れを止め、フリーキックでリスタートできることとなる。

 木田は、すぐに動いた。持っていた球を手元へ跳ね返るよう軽く蹴り上げ、フットワークを刻んで目の前のライリーをかわす。他の相手に囲まれそうになれば、敵陣の深くへキックを蹴り込んだ。そのままライリーとともに弾道を追い、敵陣22メートル線付近左でセービングしたライリーへ圧をかける。落球を誘った。

「ある意味、本能。勝手に身体が動いた」

 強気なチョイスはこの人の真骨頂だ。木田は進学した関西大倉中で自らラグビー部を作るなど、生来の積極性を持ち味とする。

 ワイルドナイツとの再戦になったプレーオフ準決勝では、前半17分に負傷交代した。「今日も自分のラグビー人生のなかでも大事な試合だった。悔しいです。本当に」と唇をかむ。

 ただ、パフォーマンスには手応えをつかめた。

「自分のラン、フィジカルは通用すると感じていて。そこは自信を持ってチャレンジしていける。そのチャレンジが毎回、楽しいというか、やりがいがあって」

 今季も加入1年目の12月のうちに開幕を迎えるとあり、いまなお新人賞となる資格を有する。プレシーズンの初期はけがのリハビリに充て、「7月なかばくらい」から練習に復帰。トレーニングマッチでも出場機会を確保している。

 これからの公式戦で持ち前の走りを何度でも表現すべく、努力をやめない。

「(パスを)もらう前のところを成長させれば、もっと加速できる」

 スピアーズのWTB勢の先輩でもある根塚は、リーグワンの新人賞を得るや日本代表デビューも果たしている。

 木田が狙うのもその路線である。海外出身者との争いがある日本代表へ、自分と同世代の日本人選手が入っているのだ。

「競争に勝って、今年のリーグワンで活躍する」

 視線の先に赤と白のジャージィを見据えるのは当然だ。

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