熊谷の師走はいつも熱い。
関東大学リーグ戦の1部・2部入替戦が12月11日に行われ、大東文化大×専修大、関東学院大×拓殖大とも熱戦になった。
昇格・降格があったのは、第2試合の関東学院大(1部8位)×拓大(2部1位)だ。
26-17で勝利を得たのはオレンジのジャージー。拓大は2023年シーズンを4年ぶりに1部で戦う。
今季2部での戦いを7戦全勝で終え、この日に挑んだ拓大は、前半13分に先制した。
PKで関東学院大陣深くに入る。ラインアウトからモールを押し込み、相手反則を誘う。ペナルティトライで7点を刻んだ。
パワフルでサイズのある留学生をFWに3人。拓大はセットプレーの強さとブレイクダウンの激しさでゲームの主導権を握った。
BKも積極的に攻め、チームの勢いを感じさせた。
しかし、なかなか追加点を奪えぬ間に関東学院大に反撃を許す時間帯を迎えてしまう。
16分にPGで3点を返されると、39分に右ラインアウトから左へ展開し、順目を攻められる。ライン参加したFB安藤悠樹の巧みなランニングコースとパスダミーに防御を乱され、そのままインゴールまで走り切られた(SO立川大輝のGも成功して7-10)。
後半も先手を取られた。
2分、キックカウンターから攻め込まれた後のキック処理に手間取り、関東学院大WTB丸山央人にインゴールに入られる。
立川にゴールキックも決められて10点のビハインドを背負った(7-17)。
しかし、拓大は自分たちの強みを信じて戦い続けた。
13分、敵陣深くでのスクラムから攻めてFWでトライラインに迫る。196センチ、116キロのデイビッド・ヴァンジーランドがインゴールにボールを置き、CTB奥田勇志がゴールキックを決めた(14-17)。
差を縮めたものの、関東学院大の体を張ったプレーに逆転は簡単ではなかった。
お互いに攻めては返される展開。そんな流れを破ったのは後半28分だった。関東学院大ボールのラインアウトをカットしたところから攻撃は始まった。
オフロードパスの連続から前進。細かなパスを繋いで防御をかわし、トライラインに迫る。
FWで辛抱強く攻め、最後はFL石渡大貴がインゴールに入って19-17と逆転した。
一進一退の攻撃は残り時間も続いた。しかし拓大は後半39分にダメ押しのトライ。ここも自信のあるラインアウト、モールで攻め切った。
後輩たちに1部で戦う権利を渡したHO米倉良祐主将は、「前半はゴール前でトライを取り切れずに流れを持っていかれましたが、後半はセットプレーで圧力をかけた状態でBKが攻めたり、強みを活かしたプレーができました」と試合を振り返った。
自身が1年の時は、同じ関東学院大に入替戦で敗れて、3シーズンを2部で戦ってきた。学生生活の最後に大仕事をした。
関東学院大のゲームキャプテンを務めたWTB丸山は、「結果が重要。負けてしまい言葉が出ない。後輩たちに申し訳ない気持ちでいっぱい」とうなだれた。
「細かなところの差が出てしまった。チャンスで(得点を)取れなかったのが痛かった」
第1試合では、1部7位の大東大が2部2位の専大を39-25で下して来季も1部で戦うことになった。
LOサイモニ・ヴニランギが幅広く、パワフルに動き、効果的なパフォーマンスを見せて勝利に大きく貢献。後半15分には29-6と大きく差を広げた。
ただ、その後の専大の反撃は、このチームの潜在能力と来季の可能性を感じさせるものだった。
最後の約20分で奪ったトライは3つ。スピードあるアタックで防御を崩した。特にBKの才能が伝わってきた。
何度も好走し、トライも奪ったWTB飯塚稜介は3年生。「スタミナが切れた時の判断力が足りなかった。疲れた時に前しか見られない選手、感情的に動いてしまう選手が多い。これは1年を通して徹底しないと積み上げられない」と、新シーズンにやるべきことについて言及した。
新たな戦い、チャレンジは、敗戦の瞬間に始まっていた。