ラグビーリパブリック

「初戦から出たい」。横浜キヤノンSHデクラーク、トップ4入り目指す

2022.12.01

経験豊富な31歳。世界の頂点を知る。(撮影/松本かおり)

SHの仲間たちへの即席キック講座。「お互いに高め合いたい」。(撮影/松本かおり)



 気さくな性格が伝わってくる。
 同じポジションのSHたちへ、ボックスキックのミニ講座のようなものを開いた。
 笑顔とアクションを交え、一人ひとりにアドバイスをしているようだった。溶け込んでいた。

 南アフリカ代表のSH、ファフ・デクラークだ。今季から横浜キヤノンイーグルスでプレーする。
 12月1日、町田市にある同チームのグラウンドで公開練習がおこなわれ、練習後には取材機会も設けられた。

 11月26日にトゥイッケナムでおこなわれたイングランド戦を終えて、同28日に来日した世界的SH。
 その試合で左足首を痛めたため、この日は全体練習には参加しなかった。

 メディカルチェックを受け、患部の様子をみている。「腫れがひけば、来週前半には練習に参加できるかも」と話す。
 12月18日の初戦、コベルコ神戸スティーラーズ戦(ニッパツ三ツ沢)へ出場する意欲もみせた。

「新加入メンバーなのに、試合に出ず、横で見ているのは印象的にも良くないし、自分としても嫌。なにがなんでも足首を治し、セレクションに入れるように努力したい」

 今秋のオータム・ネーションズシリーズで4試合を戦った南アフリカは、アイルランド、フランスには惜敗し、イタリアに完勝、イングランドに快勝という成績を残した。
 その全4戦にデクラークは出場。アイルランド戦以外は先発で、キャップ数は46となった。

 2023年ワールドカップで大会連覇を狙うチームについて、「2019年大会の1年前よりいい状況」と言う。
「若手を起用することで選手層が厚くなった」と手応えを感じている。
 自身も、ボールがよく動く日本スタイルのラグビーの中に身を置くことでフィットネスを高め、来年も代表に入れるように成長を続けたいと話した。

「(先に日本でプレーしている南アフリカ代表の同僚たちから、リーグワンは)タフなリーグと聞いています。いいプレーをして実力を示したいですね」

 そのためにも、イーグルスの空気にはやく馴染みたい。仲間たちとの距離を縮めたい。
 この日の即席キック講座も、絆を深める一助になるだろう。事前からの予定にはなかったが、仲間の要望に気軽に応えた。
「9番からのキックを教えてほしい、と。ボールへの力の伝え方を話しました」

 謙虚に、「(仲間から)学べることもある。学びたいこともある。相乗効果で高め合い、お互い成長していければ」と話す。
「新人として、コーチだけでなく、選手全員から存在を認められるようにしたい。リスペクトを得られる振る舞いをします」と言った。

 仲間たちの印象について、「まだ2回しか練習を見ていませんが、才能ある選手が多くいます。経験ある選手もいれば、これから日本代表候補になるような選手もいるように感じました」
 その仲間たちとトップ4を目指す。「そうなれば(プレーオフに進出すれば)、どこが勝ってもおかしくない状況になる」との言葉には、経験値の高さがにじむ。

 もうすぐ、10月1日に結婚式を挙げた妻も来日する。始まったばかりの新生活がさらに充実する。
 リーグワンのデビュー戦は、プレシーズンマッチへの出場がないまま迎えることになるかもしれないが、「不安はありません。私は覚えがはやい方。仲間たちの感覚を掴むのもはやい。コーチにディテールを聞き、自分の役割をクリアにしてプレーします」と心強い。

 金髪をなびかせて強気にチームを牽引する姿は、すぐそこにある。


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