「ラグビーは、少年をいちはやく大人にし、大人にいつまでも少年の心を抱かせる。」
フランス代表元主将のジャン・ピエール・リーブの言葉である。
ラグビーのコアバリューを表現した言葉を、ぎゅっと凝縮した2日間が、今年の釜石の夏にあった。
「ラグビーのまち 釜石」が、たくさんのトライと絆で輝いた2日間(8月27日、28日)だった。
岩手県釜石市鵜住居地区で「世界中に友だちをつくる日。釜石キッズトライ!」(映像はココ)が開催された。
初日、午前9時から釜石鵜住居復興スタジアム(通称:うのスタ)で行われた開会式。
ここから、キッズのたくさんの「トライ」が始まる。
今年は、熊本から5名、広島から5名、福島から9名、地元の釜石からは6名、合計25名のラグビーキッズが集った。
まず行われた記念撮影。初めて顔を合わせるからか、ワールドカップが行われた「うのスタ」に圧倒されているのか、キッズの表情からは緊張感が伝わってくる。
午前10時から、うのスタでタグラグビーの練習。
ラグビーを通じて自己紹介。時間が経つにつれ、キッズの声が響くようになってきた。それぞれのことが、だんだんとわかってきたのだろう。
午後2時からは国際交流イベント。今年は釜石の会場と、台湾をオンラインでつないで行われた。
台湾で参加したキッズは17名。海の向こうの友だちと会話をしたことで、お互いに、自分たちとは異なる文化に触れることができた。キッズからは、「初めて世界の友だちとしゃべったけど、とてもおもしろかった。」との声が聞かれた。
午後 3時40分からは理科学体験交流だ。普段食べているお菓子を使って、科学実験。次々に起こる不思議の連続に、キッズのわくわくが止まらない。
驚きで見開いたキッズの瞳が印象的だ。
午後5時からはキャンプファイヤーが行われた。
このイベントでは親御さんのもとを離れて、初めての宿泊となるキッズが多い。不安だった気持ちも、今日できた仲間と遊んだり、話をしているうちに、吹き飛んでいっているように見える。大きく盛り上がって、初日が終わった。
2日目は午前9時30分から、根浜海岸でのアクティビティでスタート。大人たちに助けてもらって、カヌー、そして水上スキー。海を舞台に、キッズの元気が大爆発。大きな叫び声が、広い海に響いた。
午後1時20分からは、スタジアムツアー。ワールドカップの輝きが残る「うのスタ」を端々まで見学。キッズの表情は真剣そのもの。自分も、世界を舞台に活躍できるようになりたいという思いが駆けめぐる。
午後2時から、うのスタで開催されたタグラグビー大会。昨日は練習、今日は順位が決まる試合。初日から行われたイベントの数々に挑戦した「トライ」を通じて、キッズには絆が生まれ、深まっていた。
真剣勝負。仲間を信じて、トライをめざして、時には自分がボールを運び、時には仲間をサポート。前日の練習とは、まるで違う動き。たくましくなったキッズの姿がまぶしい。
午後4時30分より、うのスタで行われた閉会式。
閉会式でも記念写真を撮影した。写真を比べると距離感や緊張感が感じられた開会式の時とは違い、笑顔がいっぱい。そしてひとりひとりの距離が近い。
絆ができて、みんなが友だちになった何よりの証拠だ。
閉会式が終わって解散。
「ありがとうございました」。「また会おうな」。
そんなキッズの言葉が、あちらこちらから聞こえてきた。
充実感あふれた表情でキッズは家路に着いた。
振り返ると、たくましくなっていくキッズの姿。サポートする大人たちのいきいきとした表情が強く記憶に残るイベントだった。
この夏釜石では、7月に世界を舞台に活躍する指揮者、佐渡裕さんが率いる「スーパーキッズオーケストラ」が練習合宿、コンサートを開いた。8月にはラグビーの「釜石キッズトライ!」の開催。釜石は、キッズを輝かせる、魅力あふれるまちである。
このイベントを主催する一般社団法人子どもスポーツ国際交流協会代表理事の向山昌利さんは、「釜石の象徴であるラグビーを核に、キッズが輝く、魅力あふれる釜石を舞台に、子どもたちの成長や、まちの活性化(つながり人口の増大、復興と継承の営みなど)の一助となるような、もっと大きなイベントに育てたい。そのためには、少年の心を持つ大人のみなさんの力が必要。ラグビーの価値を信じるみなさんの協力をお願いしたい。」と語る。
釜石。ラグビーのまち。キッズが輝くまち。
釜石の夏にラグビーキッズが集い、ラグビーの力で国内外の人びとを結び、世界中のキッズが友だちになる。
釜石では、このイベントが来年の夏も開催される予定だ。日本中に世界中に、ラグビーの力で、もっと大きくて、強い絆を作り、深めたい。
そんな人々の思いをつないで続いていく、釜石の「トライ」を応援したい。
【問い合わせ先】
一般社団法人 子どもスポーツ国際交流協会
info@tkse.org