大勝の主役はルーキーだった。
11月26日、関東大学対抗戦Bの成蹊大×明治学院大がおこなわれて成蹊大が52-11と勝った。
この結果、成蹊大がBの1位、明学大がBの2位に。両校はA下位との入替戦に出場する。
全勝同士の対戦は、思わぬ点差となった。
成蹊大勝利の立役者となったのが、1T5G4PGで27得点を挙げた1年生SO、菊本有真だった。
広島・崇徳高校出身。小学5年生のときに五日市ジュニアラグビースクールで楕円球を追い始め、中学では広島ラガージュニアでプレーを続けた。
高校時代は花園とは無縁。3年時は尾道に0-78で敗れた。
「これまで決勝には進出できても、そこで勝って優勝することはできませんでした。きょうは勝って、対抗戦Bで優勝し、そのチームの一員になれた。嬉しかったです」
1年目の今季、初戦の成城大戦はケガで欠場も、2戦目の一橋大戦の後半から出場を続けている。
ただ東大戦ではゴールキックが不調で、チームは接戦を強いられた。
「迷惑をかけたので、その試合のあとから練習を多く重ねました」
その成果はすぐに出た。
11月18日の学習院大戦では8G1PGを決める(1Tも)。そして、この日の明学大戦では、最後のコンバージョンキックを外した以外は5G4PG。
特に効果的だったのが、24-11のスコアで迎えた後半中盤だった。
12分、14分、19分と3つのPGを立て続けに決めて仲間にモメンタムを与え、相手を意気消沈させた。
「先輩たちの、A昇格へ懸ける思いを入部したときから感じています。入替戦も、チームの代表として、赤黒(ジャージーを)を着て試合にでる覚悟を持ってプレーします」
前半4分にPGで先制し、18分のNO8鈴木多加良、23分のWTB田村康陽とトライを重ねて17-0。
序盤の集中力の高さでペースをつかみ、そのまま押し切って快勝した。LO伊藤大吉主将は「全員で戦えた結果」と話した。
「スタンドにいる選手も、ベンチの選手も声を出して、チームを盛り上げてくれた。きょうは、全員がチームスローガンの『RISE』を意識してプレーできたと思います」
会心の80分を振り返り、「ラインアウト、スクラムのセットプレーで優位に立って勢いが出た。(SOの)菊本がコミュニケーションを取りながら思い切りやってくれた」と話す。
しかし気を引き締める。
「(大勝は)自信になりましたが、ここで浮かれたらいけない」と、11月10日に控える入替戦を見つめる。
「昨年は対抗戦Aで、強い相手に揉まれてきた相手にやられました(立大に5-37)」
1年前を思い出して決意を固める。
今季は近所で活動する横河武蔵野アトラスターズとたびたび体を当て、高い強度の中でフィジカリティの強化に励んできた。決戦に向け、「残り2週間、まだ強くなれる。(壁を乗り越えるには)一体感が大事。チーム全員で戦う」。
対峙するのは日体大か。
最高の準備をして、運命の日を迎える。