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東洋大が初の大学選手権進出を決めた! 立正大に34-21で快勝

2022.11.28

最終戦で立正大を破り、大学選手権出場を決めた東洋大(撮影:川口洋邦)

 29年ぶりに関東大学リーグ戦1部に復帰した東洋大が立正大を34-21で下し、大学選手権初出場を決めた。

 試合前の時点で、両校は勝ち点で3ポイント差(東洋大18、立正大15)で、東洋大は勝てば大学選手権出場が決まる大一番となった。

前半13分、東洋大がSH神田悠作のトライ(ゴール成功)で同点に追いつく(撮影:川口洋邦)

 11月27日、快晴の江戸川陸上競技場。前半、風下の立正大のキックオフで試合は始まった。

 前半10分、まず立正大がスクラムからNO8ユアン・ウィルソンがサイドを突き、サポートしたLO田代拓海につないで先制トライ(G)を挙げたが、直後の13分、今度は東洋大が相手陣ゴール前ラインアウトモールからSH神田悠作が抜け出してそのままゴール下にトライ、ゴールも決まってすかさず同点に追いついた。

 その後、東洋大は粘り強いディフェンスとセットプレーで優位に立ち試合の主導権を握った。安定した球出しからSH神田悠作がFW、BKを自在に操り積極的に仕掛けていく。


「スクラムは、こっちの方が重いので、みんなしっかり固まって押せば負けないと思っていた」とは東洋大PR山口泰雅。スクラムで何度も立正大の反則を誘い、27分にはPKから敵陣ゴール前のラインアウトを得ると、LO齋藤良明慈縁に合わせて後ろでキャッチ、モールを組みHO谷名樹がゴールに飛び込み追加点を挙げる。

 さらに3分後にはFLタニエラ・ヴェアのトライで21-7とし、前半終了間際にもPKから相手ゴール前ラインアウトでゴール前にせまると、最後はFLタニエラ・ヴェアがラックサイドを潜り込んでトライを挙げ、26-7でハーフタイム。


 今季、ハイパントを軸にゲームを組み立ててきた立正大だったが、スクラムが安定せずに攻撃のリズムが作れず、逆に東洋大はSO土橋郁矢がハイパント、ロングキックと効果的に使ってエリアマネジメントでも試合を優位に進めた。


「土橋選手はどこに蹴るかわからないイレギュラーなキックが多く苦戦した。スクリューハイパンも取りづらかった」(立正大SO吉野峻)。

東洋大はSO土橋郁矢が効果的なキックで敵陣に入り、試合を優位に進めた(撮影:川口洋邦)


 後半3分、立正大が自陣22メートルライン付近のスクラムでアーリーエンゲージの反則をすると、東洋大はプレーヤーオブザマッチに選ばれたWTB杉本海斗がこの日4本目のゴールをしっかり決め、10分にはHO谷名樹がこの日2本目のトライを挙げて34-7と畳みかける。

ラインアウトから安定した球を供給した東洋大LO齋藤良明慈縁(撮影:川口洋邦)


 しかし、立正大も意地を見せ、13分にはFLエパラマ・ツヴュニボノと入替で入ったばかりのFL國松建佑がトライ、30分にはゴール前ラインアウトからHO陣内源斗がサイドを突き、そこから大きく左に展開し最後はWTB大月淳史が左隅に飛び込み、SO吉野峻がコンバージョンも決めて34-21としたが追い上げもここまで。終始リードを保った東洋大が歓喜のノーサイドを迎えた。
 今季1部昇格を果たした両校の活躍を象徴するような、終始アグレッシブな試合展開だった。 

立正大も後半15分、LO國松建佑のトライで追い上げる(撮影:川口洋邦)

 3勝4敗の5位で全日程を終えた立正大。序盤は日大、東海大に敗れるも、中盤の関東学大、大東大、法政大に勝利するなど、大いにリーグ戦を盛り上げた。

 立正大・陣内源斗キャプテンは「大学選手権出場という目標は達成できなかったけど、1部で戦い抜いて後輩に1部で戦う環境を残すことができた」とシーズンを振り返った。


 堀越正己監督は、「今日の試合は前半に思った以上に得点を許してしまった。我々の強みだと思っていたスクラムで反則を取られ、力を発揮できなかった。試合中に修正出来れば競った試合になったのではないか。でも最後まで諦めずに学生たちは戦ってくれた」と選手たちを労った。そして「久しぶりに1部に上がってきてコンタクト力の高さを改めて感じた。シーズンが経つにつれて疲れがたまってきた。体づくりの大切さを終盤最後の3試合で感じた」と来季への課題を口にした。
 
 一方、初の大学選手権出場を決めた東洋大・齋藤良明慈縁主将は「今日は自分たちの力を発揮することだけ、自分の仕事を全力で全うすることを試合のテーマに戦った。仲間を信じる気持ちもあったので、それほど緊張はなかった」と振り返る。そして「去年2部で戦っていた自分たちが、すでにすごい舞台でやらせてもらっていてうれしい気持ちでいっぱいだけど、今年の目標は日本一。このチームは力もあるし、もっと力を付けて大学選手権に臨んでいきたい」と力強く、さらなる高みを見据えていた。


 そして東洋大・福永昇三監督は、「スクラム、モール、ラインアウトで圧力をかけて優位に立てたことが一つのポイントだった。シーズン通して選手同士でコミュニケーションを取り、毎回新しいことを積み重ねてすごく成長した。初戦で東海大に勝ってプレッシャーになったが、(他校に対して)フィジカルでもフィットネスでも負けていなかったので、自分たちの強みを相手にぶつければ戦えると感じていた。大学選手権では、歴史も実力も、伝統もあるチームと戦えることにワクワクする」と初の大学選手権に向けて、手ごたえを口にした。


 接戦を勝ち抜くことでシーズン中に自信を付け、さらに成長し続けた東洋大。リーグ戦の最終順位は5勝2敗で3位。大学選手権での戦いに期待を持たせてくれる最終戦の快勝だった。