ラグビーリパブリック

日本代表の藤井ディレクターは選手の吸収力を評価 ドイツ撃破のサッカー代表からも刺激受ける

2022.11.24

今秋の男子日本代表活動の総括をした藤井雄一郎ナショナルチームディレクター


 ラグビー男子日本代表の藤井雄一郎ナショナルチームディレクターも、サッカー日本代表の奮闘に刺激を受けたようだ。ワールドカップで強豪ドイツを倒した昨夜の試合を見て、「しっかり食らいついて、最後ああいう戦い方でとどめを刺したのは、私たちも目指しているところ」と語った。

 今秋のテストマッチではオールブラックス(ニュージーランド代表)、イングランド代表、フランス代表といった世界トップクラスの強豪に挑み、勝つことはできなかったが、タフな戦いを重ねて得るものは大きかった。
 ラグビーワールドカップで最多3回の優勝を誇るオールブラックスには31-38と惜敗、同じくワールドカップ優勝を経験しているイングランドには敵地で8万人を超える大観衆のなか13-52と大敗したが、最後は修正して、世界ランキング2位のフランス相手に終盤まで競った(17-35)。
「ギリギリまで追いついて、最後いい形で終わらせたいという目標で頑張った。選手は本当に3か月間、若い選手も含めてハードな練習を重ね、成長した選手もたくさんいる。結果は出なかったが、ああいう形を続けていくことで、最後ひっくり返せるように、最後の詰めをどういうふうにするかというのを考えさせるテストマッチだったんじゃないかと思う。ゴール前までいってなかなか点につながらなかったのが今後の課題。勝ってないので、納得というわけではないが、自分たちのなかでは、それなりの成果は出せたかなと思う」

 20歳のLOワーナー・ディアンズや、21歳のSO李承信、そしてオールブラックス戦で初キャップを獲得した23歳のFL下川甲嗣など、若い選手たちが国際経験を積んだことも大きい。
 藤井ディレクターは、「ワーナーに関してはMVP級の活躍だった。オーストラリアAとの試合を含めた6戦で、スーパーラグビーに1シーズン行ったくらいの経験は積めたんじゃないかと思う」と評価した。

 藤井ディレクターは以前から、「いろんな選手に国際間での試合をさせてやりたい」と言っていたが、シックスネーションズやスーパーラグビーなどでタフな試合を重ねる強豪国と比べると、日本はまだまだ国際試合が少ない。それでも、オーストラリアAとの強化試合が3戦組めたのは非常に大きかったとし、「選手の吸収スピードが(前回の2019年ワールドカップ前にサンウルブズとして)スーパーラグビーに参戦していたときに比べて格段に速くなっている。戦術やいろんな部分で、選手が完全にコーチを信頼しているので、そういう試合があると、もう少し強化のスピードは上がるんじゃないかと思う」と述べた。

 ラグビーワールドカップ2023フランス大会まで、あと9か月半。藤井ディレクターによれば、おそらくティア1(トップクラスの強豪国)とのテストマッチを来年組むのは難しそうだが、フィジー代表などと戦うパシフィック・ネーションズに参戦する見通しで、マオリ・オールブラックスやイタリア代表とも対戦する方向で調整中と報じられている。

 そして、12月17日から始まる国内リーグ(リーグワン)も重要な強化の場となるが、日本代表のマネジメントからすると、選手のコンディション調整も注意深く見ていかなければならない。プロテクトについて藤井ディレクターは、「数名の選手だが、ゲーム時間が長い選手だったり、ポジション的にけがをされたら怖いなという選手は、一応、リーグワンには出している。しかし、各チームそれぞれの事情があるので、そこは話し合いながらやっていきたいと思っている。基本的には各チームから借りている選手なので、こちらのお願いばかりというわけにはいかない。ただ、選手もちょっと休んだ方がパフォーマンスは上がってくると思う。いまはちょっと疲れている状態なので、それは各チームにも理解してもらいながら進めたいと思っている」と語った。

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