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【関西大学リーグ】熾烈な3枠目争い。関西学院大が26点差追い上げ、同志社大を撃破。

2022.11.01

劇的な試合を制した関西学院大。写真中央はPOMのCTB松本壮馬(撮影:平本芳臣)

 関西大学リーグでは今季も、最後まで勝敗の分からない白熱した試合が続いている。
 10月30日、宝が池公園球技場でおこなわれた第4節では、26点差からの逆転劇があった。
 関西学院大がロスタイムの逆転トライで、同志社大を38-34で破った。

 この試合のレフリーはNZ・カンタベリー協会のエデンさんが担当。これは、坂田好弘 前関西協会会長とカンタベリー協会の繋がりから、2016年に生まれたレフリーの交流企画だ。コロナ禍以前は、春に関西協会所属のレフリーがNZへと渡り、秋にはカンタベリー協会所属のレフリーが来日していた。

 今回、同企画が3年ぶりに再開された。前日にはトップウェストの試合のレフリーも担当。その日におこなわれたオールブラックス対日本代表の試合は、両協会のレフリーが一緒になって録画した試合を視聴し、交流を深めた。

 そんな貴重な機会となった試合で、序盤から気を吐いたのは同志社だった。
 先制トライは前半5分。ゴール前のアタックでSO大島泰真がオフロードパスでCTB市川亮太につなぎ、WTB芦塚仁がポスト横に飛び込んだ(7-0)。
 19分には関学に攻め込まれるも、FL小島雅登がラックでターンオーバー。自陣から一気に外へ展開し、CTB市川、FL奥平都太郎、WTB山本希とつないでゴールラインを超えた(14-0)

 その後も同志社はハーフウェイライン付近のセットプレーからのアタックで、ミスなくトライまでつなげる。22分、36分、40分とスコアして、前半は失点をトライ1つに抑えた。

 スクラムこそ苦しんでいたが31-5と26点もの差をつけ、前半ながら勝負は決したかに思われた。
 しかし、後半は関西学院大が怒涛の反撃を開始する。

 起点となったのは後半12分のインターセプトだった。激しく攻守の入れ替わっていた後半の序盤、同志社はハーフウェイライン付近からアタックを開始。そこでSOのパスを、勢いよく飛び出していた関学のCTB松本壮馬がインターセプトして、そのままインゴールに入った(12-31)

 15分にはFB大森広太郎の好キャッチを起点にPGを加点されるも(34-12)、直後のキックオフで関学はPR安達朋樹の力強いタックルから相手の反則を誘う。ゴール前のモールからHO平生翔大が抜け出した(19-34)。

 23分には相手のアタック時の反則からSO泉谷尚輝の好キックでエリアを進める。敵陣22㍍ライン内のラインアウトから、最後はCTB松本が2本目のトライを奪った(26-34)。

 点差を一桁として一層気持ちが入る関学は、再びSO泉谷のキックでエリアを獲得。ラインアウトでのプレッシャーから攻守を逆転させゴール前でモールを組んだが、ここは同志社のディフェンスに阻まれた。
 しかし、直後のスクラムでターンオーバー。それから3度、コラプシングを誘い、相手PRを退場させた(シンビン)。

 それでも、ゴール前のアタックでは同志社FL小島のタックルから反則を奪われる。同志社はようやくピンチを脱したかに見えたが、関学はハーフウェイライン付近のアタックからFB武藤航生のゲインを起点に大外に展開。連続攻撃でゴール前まで迫り、最後は野矢健太郎がトライラインを越えた。

 SO泉谷のゴールは決まらず31-34。蹴った時点で時計の針は80分を回る。アナウンスで「ロスタイムは4分」と知らされた。

 同志社大はライン際でFWをぶつけて時間を潰しにかかるが、数フェーズ重ねたのち逃げ切りに失敗。反則を取られてゴール前まで迫られ、WTB山本の好タックルなどで必死に守ってはいたが、最後はCTB松本のゴロパントに反応したWTB加藤匠朗がインゴールで抑え、逆転のトライが決まった。

 ゴールも決まって、38-34。劇的な試合は後半45分にノーサイドを迎えた。

 関西リーグはこの日に第4節までが終了した。現時点での順位は下記の通りだ。

20点 京産大 (4勝0敗)
20点 天理大 (4勝0敗)
10点 近大  (2勝2敗)
10点 同志社大(2勝2敗)
9点  関西学大(2勝2敗)
8点  立命大 (2勝2敗)
1点  関西大 (0勝4敗)
0点  摂南大 (0勝4敗)

 京産大、天理大が4戦全勝、勝ち点20で頭ひとつ抜けている。すべての試合でボーナスポイントも獲得した。

 3位以降は2勝2敗で4チームが並んでいる。勝ち点差で近大、同志社大が同数で3位、4位に関西学大、5位に立命大とそれぞれ1差で続く。今季、関西リーグに与えられた全国大学選手権の出場枠は3つ。残りの1枠をかけた争いは熾烈を極めそうだ。

 5節以降の対戦を見ると、天理大、京産大との戦いをすでに終えている立命大と関西学大が優勢か。両校の対戦は第5節、11月13日に神戸ユニバー記念競技場でおこなわれる。
 しかし、現在最下位の摂南大は同志社大、天理大と好勝負を演じ、関大もセットプレーから一発でスコアできる力を備えている。その後の戦いも一筋縄ではいかないだろう。

 ちなみに、現時点で関西優勝にもっとも近い京産大と天理大の決戦は、11月20日にたけびしスタジアム京都でおこなわれる。
 熱戦は続く。