スコア上は大差。
しかし、勝利に届かなかった側にも確かな青春の発露があった。
ファイナリストとなった2校には、その熱を寄せ付けぬ逞しさがあった。
花園の東京都予選が4試合おこなわれた10月30日の江戸川区陸上競技場。第3試合、第4試合では、第二地区の準決勝がおこなわれた。
東京は明大中野に39-0と完封勝ち。目黒学院は東京朝高に49-3。それぞれ花園の舞台に一歩近づいた。
東京は前半7分にCTB鈴木浩介がトライを奪い、前半を15-0とリード。
後半もFW、BKがそれぞれ持ち味を発揮して4トライを追加し、着々と得点を重ねた。
明大中野は敗れたものの、よく体を張った。
3年生の長橋駿は、「1トライ取ってやろうと思ったけど取れなかった。そこは後輩たちに託したい」と話して言葉を続けた。
「ディフェンスに関しては持ち味を発揮できて、悔いがないぐらい頑張れました。後半は体力切れでもったいない(失)トライもあったけど、特に前半は完璧と言っていいぐらい。そこには満足しています」
東京のNO8苅和野俊主将は、「自分たちが思っていたより詰めてきてストレスを感じた」と明大中野をリスペクトした後、次戦への思いを話した。
「(きょうの試合は)厳しいゲームになるのは予想できていましたが、相手の時間帯になったときに、切り替える雰囲気にできませんでした。そのあたりを決勝に向けて修正していきたい」
目黒学院×東京朝高は、点差ほど一方的な展開とは感じない試合だった。
東京朝高が何度でも低く、激しいタックルを繰り返した。
じわじわと点差をつけられても闘志は衰えず、積極的な攻撃を仕掛け続けたからだ。
目黒学院はそれを、パワーではね返すこともできれば、展開力で攻略することもできた。
精一杯の力を出しても勝利に届かなかった東京朝高の金太仙主将は、「みんなディフェンスで頑張った。ただ、(SOの自分が)エリアマネジメントをうまくできず、後半に走り負けた。チームメートは100パーセント出し切ってくれた」と話した。
悔し涙を流したキャプテンは、積極的にアタックを仕掛け、自ら防御を突破するシーンも度々あった。
1年間を振り返り、「今年のチームは夏の後半に、いままでの朝高とは違うラグビーをしようと目標を立てました」と言った。
「でも、それを確立できなかった。来年、(その継続を)後輩がやってくれると思います。きつい練習もやり切って、いっぱい走って、走り負けないチームになってほしい」
東京朝高と目黒学院は普段から合同練習をおこない、互いのことを知る仲だ。
目黒学院は、その友人たちのチャレンジを自分たちの強みではね返し、勝利をつかんだ。
CTB菅瑞揮主将は、「前半(のチーム)は緊張もありましたが、後半はそれもほぐれ、力が出せました。いつも一緒にやっている相手ですが、フィジカルの強さを発揮できました」と手応えを言葉にした。
東京との決戦に向け、「自分たちはディフェンスで流れを作るチーム。(予選決勝では)フィジカルとディフェンスで圧倒し、自分たちの流れに持っていきたい」と意欲を示した。