10-10と7-7。
2試合とも前半を同点で終える熱戦になった。
10月30日、江戸川区陸上競技場で花園(第102回全国高校大会)の東京都第一地区予選準決勝2試合がおこなわれた。
國學院久我山が早実を20-10、成城学園が本郷を27-14と破り、それぞれ11月13日におこなわれる決勝に駒を進めた。
午前10時キックオフの試合は、早実ペースで始まった。
赤黒のジャージーは10点を先行する。前半3分にPGで先制点を挙げ、その5分後にはラインアウトからBKのムーヴが決まり、WTB平塚英一朗がインゴールに入る。コンバージョンキックも成功させた。
描いたプラン通りの『入り』を見せた赤黒のジャージーに対し、久我山はやがて反撃に転じた。
11分、モールを押し込んでPR三井凌がインゴールにボールを押さえる。18分にもラインアウト後のモールで前進し、HO清水健伸がトライを奪い、10-10の同点に追いついた。
後半は2分に久我山がBKで展開し、CTB下坂陸が右中間にトライ。この試合で初めてリードを奪い、5点差をつけた。
15分にも攻め込み、モールからHO清水がトライラインを越えた。
20-10として勝利を手にした。
敗れた早実は、ディフェンスで前に出続け、攻めても積極的に仕掛けた。しかし、接点で圧力を受けるシーンもあり、それをきっかけに相手にボールを渡す。
CTB池山昂佑主将は「準備したプレーを出せたところもありましたが、自分たちで掲げたノーペナルティのテーマを最後まで徹底できなかった」と悔やんだ。
久我山のHO清水主将は自ら2トライを挙げて逆転勝ちした試合を振り返り、「前半は我慢。ミスや失点にも焦らずやれました」と、10点を追いかける展開にも落ち着いて対処できたと話した。
「相手のボールに対しても、プレッシャーをかけて球出しを遅らせました。2人目の寄りの速さを意識しました」
11月13日の予選決勝に向け、「全力で勝ちにいきます。そのためにも体調を整えることに気をつかいたい」と話した。
続いておこなわれた第2試合では成城学園が終盤に突き放し、久我山の相手に名乗りをあげた。
27得点中15点を試合終盤の10分に集中させる勝負強さを見せた。
前半5分にWTB清水大世のトライで先制した成城は、その後も積極的に攻め続け、長く敵陣でプレーした。
しかし攻め切れず、前半終了間際には本郷WTB田中玄樹主将にトライを許す。同点でハーフタイムに入る展開となった。
試合は後半もスコアが拮抗した。
10分に成城がLO若杉駿介のトライで勝ち越すと、本郷も負けじと反撃する。
20分、ボールをワイドに動かした後にゴール前へ攻め込み。FL関康輔がインゴールに入る(同点)。コンバージョンキックも決めた(勝ち越し)。
しかし、ラスト10分は成城の時間だった。
後半23分、試合を通じて仕掛け続けたSO吉田有佑が防御のギャップを切り裂いて走り切る逆転トライ(CTB村井健人のGも成功)。
PGで加点し、ラストプレーでWTB仲西祐太がダメ押しのトライを決めた(27-14)。
成城は、2014年以来の予選決勝進出となった。そのときは久我山に7-10と惜敗した。
当時もチームを率いていた仲西拓監督は、「当時(予選決勝進出)のメンバーは、その後コーチなどで協力してくれて、きょうも大勢来てくれています。その中で決勝に行くことができて嬉しいですね」と笑顔を見せた。
「どれだけ前でFWが体を当てられるか。そこにフォーカスした」と、選手たちを労った。
幼少期から一緒にプレーしている選手たちが多い。自由に、主体性を持って動くように指導してきた成果は各局面の思い切りの良さに見られた。
ゲームキャプテンを務めたNO8舩越乙夢は、「攻め込まれても落ち込まず、自分たちで何を修正すべきか会話し、考えをひとつにして戦えた」と勝因を自己分析した。
チームキャプテンの中山太智は「ブレイクダウンや接点で圧力を受けるシーンもあったけど、少ないチャンスをBKが自由にアタックして点を取ってくれた」と仲間を称えた。
本郷の田中主将は、後輩たちに思いをつないだ。
「前半はしつこく粘り強くいけたけど、後半(トライを)1本とったあと、僕たちのしつこく粘り強いディフェンスができなかった。運動量が足りなかった。もっと粘れたら勝てた試合だった。来年はさらに(ここまでやってきたことを)詰めていって、後輩たちには(勝てる展開を)実現してほしいと思います」とエールをおくった。