トップイーストリーグの最下部にあたるCグループ。ワセダクラブ・トップラッシャーズは10月23日、トップリーグで戦った日本IBMがクラブ化したBIG BLUES(ビッグ・ブルーズ)と第3戦を迎えた。試合終了間際、ブルーズがサヨナラPGを外し、ワセダクラブが29-27(前半19-13)で辛勝。
この試合、残り3分にワセダクラブの21番をつけた左WTB吉野俊郎が念願のピッチに立った。後半20分過ぎに出血交代で1分ほど出場も正式交代は後半37分か。1960年9月5日生まれの62歳、日本代表キャップを持つ。
試合ではモールを作る味方チームに声をかけたりラックに入ったりしていた。ボールを持つことはなかった。ラスト、ブルーズが執念でラインアウトからモールを組みトライを狙う場面でもディフェンスでコミュニケーションをとった。「勝ててよかった。(勝ちたい)気持ちをチームに伝えられたかな」と吉野。終了後はチームメートから「よっさん、良かった」と声をかけられていた。
62歳とはいえ出場への意欲は旺盛だ。職場サントリーでは部長職の要職だがコロナウイルス対策でリモート勤務になったのを利用している。週6回朝1時間、フィットネスクラブでウエートトレーニングを欠かさない。ピッチ脇で出番を待つ吉野に後藤禎和監督が「残り5分で」と声をかける。
吉野は「3分間だったけど嬉しいね。(ラグビーから)抜けられないね。トライを取りたい気持ちはある。きょうも味方モールでSHと2度ほどアイコンタクトができた。次は回してもらえるかな」と喜びを隠さない。初戦のメンバー入りのニュースに早大やサントリー時代の仲間たちから連絡が相次いだ。後輩の清宮克幸・日本協会副会長からは「さすが、よっさん」とメッセージが届き「先週、食事しました」という。
ワセダクラブは2連勝。試合開始から学生ラグビーシーンでも活躍したベテランが魅せた。6分、早大OB31歳、左WTB坪郷勇輝がキックリターンからブルーズ陣へランで大きくゲイン。つないだボールを天理大OB46歳、区立中学先生のFL南博幸がポスト右へ仕留める。コンバージョンはCTB平井亮佑が決めた。
スクラムでワセダクラブが優位にたつ。15分過ぎにブルーズボールのスクラムを押して奪う。2度目のスクラムからのターンオーバー。これを兄・勇輝の左タッチライン際の走りから平井へラストパス。トライへ。12-0とした。
ブルーズがその後、ワセダクラブ陣へ入るとCTB木村聖大が2本のPGを確実に蹴りこみ12-6とする。残り15分でワセダクラブの敵ゴール前パスをブルーズが故意にノックオンし、ペナルティトライになった(19-6)。
前半最後、ブルーズが攻める。左ラインアウトを得るとモール、ラックでつき、最後はLO常泉達がインゴールへ置いた。19-13で後半へ。
後半8分、ワセダクラブは敵陣へ入るもボールを前にこぼす。ブルーズがつないでトライ、ゴールキックも木村が成功し19-20と逆転した。
接戦に吉野投入の機会はない。20分頃にワセダクラブがPGを選択し、平井が決めて22-20へ。ウォーターブレークの後、吉野が一時入るもすぐに外へ。25分、ワセダクラブはラインアウトから攻めたてSHに入った元トヨタヴェルブリッツの平野航輝がラックからボールをねじ込んでトライラインを越える。コンバージョンを平井が決める。これが決勝点になる。30分過ぎにブルーズが7点を返す。最後、モールで攻めPGを得るも、木村の蹴ったボールはバーの下を通過しノーサイドになった。
ワセダクラブは有利に進めていた中で、自らの反則で窮地に追い込まれ、最後は辛勝になった。後藤監督は「こんな試合で運を使い切ってしまうとは」と厳しい言葉を発していた。
次の試合、ワセダクラブは10月30日に江戸川区臨海球技場で大塚刷毛製造と対戦する。14時30分キックオフ。同日、近所の江戸川陸上競技場では朝10時から「東京都高校大会準決勝4試合」がある。高校と社会人ラグビーのはしごも楽しみ。