プール戦最後の試合で、プレーオフに向けて選手たちは最後のアピールの場となる。
ラグビーワールドカップ2021開催国のニュージーランド女子代表“ブラックファーンズ” は、10月22日にファンガレイのノースランドイベントセンターでおこなわれるスコットランド戦に向けてのメンバーを発表、2戦目に続きメンバーを大幅に入れ替えてきた。
ウェイン・スミス ヘッドコーチが大会前から32人のスコッド全体で戦うと明言していたように、開幕から3試合通じてローテーションで組んだメンバー構成となった。
毎試合、活躍をしている共同キャプテンのSOルアヘイ・デマント、高いワークレートで高速ラグビーを支えるLOチェルシー・ブレムナーはベンチスタート。トライゲッターのポシャー・ウッドマン、ルビー・トゥイをメンバー外にするなど、既に準々決勝進出を決めているだけに余裕のメンバー選考ともいえるか。
共同キャプテンのケネディー・サイモンのけがが癒えず、この試合も欠場となりプール戦での出場は、ゼロとなった。開幕戦で活躍したCTBステイシー・フルーラーも2試合連続で欠場と2人のけがの状態が気がかりだが、来週までには戦列に復帰できそうとのことだ。
共同キャプテンの2人が先発メンバーにいないことから、この試合のゲームキャプテンは地元ノースランド出身のSHアリヒアナ・マリノ・タウヒヌが務める。テストマッチでの先発が2回目ながらもキャプテンに任命されニュージーランド国内のメディアを賑わせたが、マリノ・タウヒヌが信頼されている証拠だろう。
フロントローは、HOジョージア・ポンソンビーが2試合連続で先発、両PRは、開幕戦のピップ・ラブとエイミー・ルールが先発に復帰で、今年国内選手権で優勝したカンタベリーのフロントローを揃えてきた。2戦目で苦戦したスクラムの立て直しに期待される。
LOは、2戦目で高いワークレートを見せてアピールしたマイア・ルースが2試合連続先発。プレーオフでも先発出場に名乗りを挙げる最後のアピールの場を活かすことができるか。
第3列は、先週ケガから復帰したばかりでも、高いワークレートやスキルを見せつけたアラナ・ブレムナーが2試合連続6番で先発。15人制復帰後もブランクを感じさせないセブンズ代表キャプテンのサラ・ヒリニが7番で先発復帰する。そして、パワーが持ち味のリアナ・ミカエレ・トゥウがNO8と、バランスの取れた3列がどんな仕事をするのか楽しみだ。
BKに目を向けると、キャプテンに任命されたマリノ・タウヒヌとハーフ団のコンビを組むのが開幕から2試合続けてベンチスタートとなっていたヘーゼル・トゥビックで、背番号10をつけて初先発となる。トゥビックの持ち味でもあるキック力を武器に、プレーオフを見据えてこの試合でキッキングゲームを試すのかも注目される。
CTBは、テレサ・フィッツパトリック、エイミー・デュプレッシーのコンビ。今年8月のオーストラリア代表とのローリー・オライリー カップの1戦目で大勝して以来のコンビは注目したいところ。
18歳ながらも落ち着いたプレーで活躍しているCTBシルビア・ブラントは、今回はベンチスタートになるが、開幕からすべての試合でメンバー入りしており、期待の大きさがうかがわれる。
▼指揮官が絶賛する注目選手の復帰
23歳のパワフルWTBのアイシャ・レティ・イイガがプール戦最後の試合で待望の復帰となり、ニュージーランド国内のメディアを賑わせることとなった。
フロントローのような風格ながらもスピードがあり、今年のテストマッチでトライを量産したレティ・イイガの復帰は、プレーオフに向けて優勝候補一番手のイングランドにフィジカルで対抗するにはもってこいの選手で明るい材料となりそうだ。
スミス ヘッドコーチは、インタビューでけがをする前のレティ・イイガを「世界で最高な選手だった」と絶賛するほどで期待は大きいようだ。
爆発力はポシャー・ウッドマン並み、もしくはそれ以上と言える選手でコンディションの状態が気になるが、万全なら観客をびっくりさせるパフォーマンスをしてくれるだろう。試合に飢えているレティ・イイガが爆発する姿が今から目に浮かぶ。
▼課題の克服に注目
2戦目のウエールズ戦では、スクラム、モールのディフェンス、規律など課題がたくさん出た。
今回の対戦相手のスコットランドは、ウエールズに僅差で敗れた相手。FWもウエールズと同じく手強いと思われる。
しかし上記の課題をメディアから執拗に問われているヘッドコーチの様子は終始おだやかだ。名スクラムコーチのマイク・クローンをはじめ信頼しているコーチ陣、そして何よりも選手たちを信じているコメントは、これまでやってきたことの自信がうかがえる。
プレーオフ前の最後の試合で重要な課題が克服されるか注目したい。