欧州2強のイングランド、フランスと一緒になったプールCで黒星発進となり、準々決勝へ進む8強入りのためには、なんとしても1勝をもぎとりたいフィジーと南アフリカが激突し、試合終了間際の逆転劇で、フィジーが21-17で歓喜となった。
ニュージーランドで開催中の「ラグビーワールドカップ2021」(第9回女子大会)。両チームは10月16日にオークランドのワイタケレ・スタジアムで対戦し、前半からパッションあふれる激しい攻防となった。
先制したのはフィジー。前半13分、イエローカードをもらって14人で懸命にディフェンスしていた南アフリカに対し、テンポよくボールを動かし、WTBイリサペジ・デライワウが左外を抜けてトライを挙げた。
一方の南アフリカは36分、敵陣22メートルライン内に入り、パスは乱れたが、ボールを拾ったCTBズィンレ・ムプパが鋭い小回りからスペースを抜けてゴールに持ち込み、コンバージョンも決まり同点となった。
しかし、フィジーはハーフタイム前、粘り強いボールキープでアタックを継続し、重量級のPRシテリ・ラソレアが突進してゴールに迫り、リサイクルしてWTBアカニシ・ソコイワサ(ながとブルーエンジェルス所属)がタックルされながらも柔軟な身のこなしでインゴールに押さえ、14-7と勝ち越して折り返した。
後半も、息もつかせぬ熱闘は続き、今度は南アフリカが反撃する。劣勢の時間帯を耐え、59分(後半19分)に敵陣22メートルライン手前でPKを得ると、果敢に攻めて根気よくつなぎ、最後はパワフルなNO8アセザ・ヘレが突っ込んでトライ。コンバージョンも決まり、再び同点となった。
その後、両チームともチャンスをつくったが、互いに譲らない。死力を尽くし、終盤の戦いに入った。
そして、75分、攻め続けていたフィジーに対して南アフリカが反則を犯し、フィジーはショットを選択する。が、失敗。
逆に、ピンチを脱出した南アフリカは1分後、カウンターラックでボールを奪い返し、敵陣でフェイズを重ねてペナルティを獲得。SOリビー・ヤンセファンレンズバーグがPGを決め、勝ち越しに成功した。勝利に近づいた南アのファンが歓喜に沸いた。
だが、ドラマは続きがあった。
残り時間2分を切り、フィジーはリスタートのキックオフにかけた。CTBセセニエリ・ドヌが果敢に競りにいき、はたいたボールを仲間が確保する。PRラソレアのパワフルなボールキャリーもあって敵陣22メートルライン内に入り、サポートもあってペナルティを得ると、クイックタップで速攻を仕掛け、ボールを手に力強く突進したNO8カラライニ・ナイセワが3人のタックラーをかわしてインゴールに押さえ、劇的な逆転トライとなった。そしてコンバージョン後、ノーサイドの笛が鳴った。
大一番を制したフィジーは、ラグビーワールドカップ女子大会初勝利。これで今大会1勝1敗(総勝点4)となり、準々決勝進出のためには、22日のプール最終戦(対 フランス)で少なくともボーナスポイントを獲得する必要がある。
0勝2敗(総勝点1)となった南アフリカは、最後のイングランド戦にすべてを懸ける。