ニュージーランドで開催中のラグビーワールドカップ2021(第9回女子大会/コロナ禍で1年延期)は、プールステージの2週目に入り、10月15日にファンガレイのノースランドイベントセンターで3試合がおこなわれた。
プールBの初戦を落とした日本は、同じく黒星発進だったアメリカと対戦し、序盤に先制して2点リードで折り返したが、17-30で敗れた。
日本はこれで0勝2敗(総勝点0)。しかし、まだ準々決勝進出の可能性は残っており、23日におこなわれるイタリアとのプール最終戦は、4トライ以上挙げてのボーナスポイント付き勝利が8強入りへの最低条件となる。他チームの結果や得失点差の関係もあり、厳しい立場だ。
アメリカは1勝1敗(総勝点5)となった。
プールCに入ったヨーロッパの強豪対決は、タイトな試合となった。
前回大会の2位と3位、そして今回も優勝争いに加わると見られているイングランドとフランスが激突し、世界ランキング1位のイングランドが13-7で同4位のライバルを下した。
イングランドはこれで今大会2勝0敗(総勝点9)、テストマッチ27連勝となった。
フランスは1勝1敗(総勝点6)。
フランスは前半12分にキープレーヤーのひとりであるSHロール・サンシュスが負傷交代し、16分には8番をつけたホマン・メナジェもストレッチャーで運ばれ、苦しいチーム状況となった。
前半は、イングランドがテリトー69%、ボール支配率は73%と優勢にゲームを進めたが、自陣で守る時間が多かったフランスはゴールラインを割られてもグラウンディングを許さないなど、辛抱強く守り続けた。最終的に、フランスのタックル数は214回でイングランドの約3倍にのぼった。
それでも、イングランドは24分、敵陣深くで14フェイズ重ね、かつて世界最優秀女子選手に選ばれたことがあるCTBエミリー・スカーラットがタックラーを破り、先制トライを挙げた。自らコンバージョンを決め、後半にはPGで加点し、13-0とした。
フランスが得点したのは64分(後半24分)。司令塔からのクロスキックでボールを手にしたWTBジョアンナ・グリゼがゲインしてゴールに迫り、サポートしたFLガエル・エルメットがトライ。コンバージョンも成功で6点差となった。
しかし、最後まで攻め続けたイングランドが追加点こそ奪えなかったもののリードを守り切り、接戦を制した。
プールAでは、オーストラリアがスコットランドとの接戦を14-12で制し、今大会初勝利を挙げた。
初戦で開催国のニュージーランドを慌てさせたオーストラリアだが、この日は、世界ランキングでは格下とされるスコットランドに苦しめられた。
前半、スコットランドにモールで2トライを奪われ、0-12で折り返したオーストラリアは、後半に入っても粘り強くディフェンスし続けた濃紺の壁をなかなか崩せずにいたが、PRエヴァ・カーパーニなど、ボールタッチも多かったフロントローの3人がアグレッシブに動いてチームを鼓舞。
56分(後半16分)のPRリズ・パトゥのパワフルな突進は相手の堅守にグラウンディングを阻まれてしまったが、敵陣深くでの攻撃は続き、59分、根気強く13フェイズを重ねてワイドにボールを動かし、開幕節のニュージーランド戦でも2トライを挙げていたWTBビエン・テリータがフィニッシュ。厳しい角度からFBロリ・クレイマーがコンバージョンを決め、5点差とした。
息を吹き返したオーストラリアは73分にも敵陣22メートルライン内に入ると、得意のスクラムから攻め、ボールを動かしてゴールに迫り、走り込んでスピードに乗った16番のアシュリー・マースターズが壁を破り、トライ。コンバージョンも成功で逆転した。
その後、オーストラリアは危険なタックルをした2人の選手が退場となってしまったが、最後は13人になりながらもリードを守り切り、激闘は14-12でノーサイドとなった。
オーストラリアはこれで1勝1敗(総勝点4)。一方、第1戦も7点差以内の惜敗だったスコットランドは2試合連続でボーナスポイントを獲得したものの、0勝2敗(総勝点2)となり、プール最終戦は優勝候補のニュージーランドが相手のため、準々決勝進出は厳しい状況になった。