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【RWC2021】先制、逆転も、サクラフィフティーン、アメリカに敗れ2連敗。

2022.10.15

CTB古田真菜は「もっとできることがあった」と、悔しさを隠さなかった。(撮影/松本かおり)

カウンターアタックからトライを挙げたWTB今釘小町。(撮影/松本かおり)



 サクラの花が咲きかけた。
 その開きかけたつぼみをイーグルスがパワーで食いちぎった。

 10月15日、ファンガレイ。女子日本代表、サクラフィフティーンがアメリカに17-30と敗れた(プールB)。
 逆転負けで、開催中のワールドカップで2戦2敗となった(アメリカは1勝1敗)。

 先制点はサクラフィフティーンが取った。
 前半4分、相手ゴール前のラインアウトでムーヴを仕掛ける。モールのうしろで球を受けたNO8齊藤聖奈からライン際を走ったSH阿部恵にパスが渡り、そのままインゴールに入った。

 この日のサクラフィフティーンは初戦のカナダ戦と比べ、落ち着いて戦うことができた。
 パワー自慢の相手にしっかりタックル。ディフェンスの出足でもプレッシャーをかけ、相手のミスを誘う。
 前半に許したのはPGひとつ。3点だけだった。

 ハーフタイム後も接戦は続いた。
 後半はショートパントから好機をつかんだアメリカが先手を取る。5分、数的優位を作り、左のタッチライン際をHOジョアンナ・キトリンスキーが駆け上がってそのままトライラインを越える。

 しかし、5-8と逆転されてもサクラは下を向かない。
 後半10分、相手キックを受けてのカウンターからSO大塚朱紗が前進し、ラックから左へ大きく展開する。
 フェーズを重ね、最後は右の大外を攻略。WTB名倉ひなのが右隅に走り込んだ。
 10-8。いい空気が流れた。

 ただ、ここからアメリカの圧力が一層強まった。
 15分、サクラフィフティーンの反則から得たPKで日本陣へ攻め込む。ラインアウトからモールを押し、パワフルなCTBアレブ・ケルターを走らせる。背番号12はタックラーを引きずりながらトライを挙げた。

 10-13と再逆転されたサクラフィフティーンは、それでも気持ちを切らさなかった。
 しかし、相手のパワーにタックルを弾かれ、疲れの見えるスクラムで押される。
 たまらず反則も増え始めた。

 差を開こうと全開のアメリカ。22分のトライはWTBジェニー・デティヴォーのインサイドブレークから好機を作り、FLエリザベス・ケアンズが決めたもの(Gも成功)。
 30分にはふたたびWTBデティヴォーが突破し、今度はそのままトライ(G成功)。差を広げた。

 10-27とされたサクラフィフティーンは36分、相手のキックを受けたWTB今釘小町が得意のステップワークでディフェンダーを抜き去る。自身でゴールキックも決めて意地を見せた。
 しかしPGを追加される。17-30がファイナルスコアとなった。

 スタジアムには、終始、サクラフィフティーンを後押しする声援が飛んでいた。
 何度でも立ち上がってのタックル。高速アタック。前半はしつこいディフェンスにアメリカがFWのパワープレーを諦め、キックやBKでの攻撃に切り替えるシーンもあった。

 南早紀主将は試合後、前戦から課題を修正して相手を慌てさせ、勇敢に戦った仲間たちを「誇りに思う」としながら、「悔しい。結果を残したかった」と話した。
「モメンタムを継続できなかった。勝ち切れない」と反省し、「次の試合(対イタリア)には絶対に勝ちたい」とサクラのエンブレムを胸につける者の責任を口にした。

 試合を終えた選手たちは皆、悔しさをにじませながらも、「日本も世界の強豪チームと戦えることが伝えられていたら」と思いを口にした。
 ノックアウトステージ(8強)への進出は難しくなった。しかし、勝利を目指す意欲は失わない。

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