トライ数は1対7。
失点がさらに増えそうなシーンもあったけれど、そこは何度も粘った。
力がついた証明だ。
しかし完敗だった。
10月9日、女子日本代表(サクラフィフティーン)がラグビーワールドカップ2021の初戦を戦った。
41点を相手に与え、得点は7点だけだった。
試合開始から1分過ぎ、先制点を許した。相手にキックを蹴り込まれ、蹴り返したところでチャージされる。
転がるボールをWTBペイジ・ファリーズにインゴールで押さえられた。
その3分後、サクラフィフティーンは敵陣に攻め入る。
順目にアタックを連続させる得意なスタイルからトライラインに迫り、LO高野眞希がインゴールにボールを置く。
そこまでは良かった。
しかし、5-5に追いついたのを最後に桜のジャージーは得点を刻めなかった。
敵陣に入り、モメンタムを生むアタックを実行するイメージを実現できなかった。
ほとんどのラインアウトでボールを失い、スクラムで押し込まれることもあった。
結果、接点で相手に前に出られ、「ディフェンスのセットが遅れた」(SO大塚朱紗)。
前に出て守る、自分たちの強みも出せなかった。
14分に許したトライはスクラムでPKを与えた後、ラインアウトからモールで圧力をかけられた。
HOエミリー・トゥットシに飛び込まれた。
24分にはラインアウトで失ったボールで攻められ、ラックサイドをSHブリアナ・ミラーに突かれた。
29分、35分にも、トゥットシ、ミラーに同じ形で攻略されて2トライを追加される。
5-27で前半を終えた。
後半に先手を取り、早めに差を詰めたかったサクラフィフティーン。
しかし10分、カナダに追加点を許す。
自陣から脱出したかった場面でミスをして相手スクラムに。そこで反則を取られ、またもPK→ラインアウト→モールでトゥットシにトライラインを超えられて勝負は決した(Gも決まり5-34)。
PR南早紀主将は、「相手の圧力が思った以上に強く、自分たちでコントロールできるはずの部分、ディシプリンを守れずに勢いを作れなかった」と悔しがった。
しかし決してうなだれない。
昨秋からの準備の中でテストマッチを重ね、勝ったり、負けたりを繰り返し、地力をつけてきたチームだ。
「負けたことは悔しいですが、まだ1試合終わっただけ」と前を向いた。
唯一のトライを奪った高野も次週を見て言う。
「カナダのモールは1度目だけでなく、2度目の押しも強烈でした。それにやられましたが、試合中もチーム内で話しながらプレーできました。次の試合に向けてまた準備をしていきます」
レスリー・マッケンジー ヘッドコーチは、多くの圧力を受ける中で戦った選手たちについて、「ワールドカップで戦う難しさを感じたと思う」とねぎらった。
最後の最後まで進化を誓うチームの成長は、勝利に向けてまだ続く。
10月15日に戦う相手は、この試合の前に同会場でおこなわれた試合でイタリアに10-22と敗れたアメリカ。
強みを出し切る80分を見せる。