前年度の関西王者、京産大はやはり強かった。摂南大の原渕修人は、そのことをあらためて思い知った。
9月25日におこなわれた関西大学リーグ第2節。京産大と対戦した摂南大は、後半こそ互角に戦うも(19-28)、前半の大量失点が響き26-70と大敗した。
右PRの原渕はスクラムでも後手を踏んだことを悔やむ。
「京産さんもレベルアップしてる。自分たちの努力が足りなかった。もうあんなにコテンパンにやられたくないです」
春はスクラムに手応えを感じていた。関西大学春季トーナメントの同志社大戦で、猛プッシュを見せて何度も相手の反則を引き出したのだ。
「ほとんど毎日スクラムを組んできました。永山コーチからもこれくらいやらないと勝てないよ、というのは言われていて。全員のスクラムに対しての意識が変わって、強くなったと思います。(春は)その成果を出せた」
瀬川智広監督と同い年で、和菓子屋を営む永山宜泉さん(同志社大→ワールド)が今季からスクラムの強化にあたっている。
原渕はその恩恵を受けた。
「相手との組み方、1番に対してどう組むか、を分かりやすく教えてもらいました。これまでとは違う組み方になって、すごくやりやすく(力をより出せるように)なりました」
もうひとつの浮上のきっかけは、京産大との合同練習だった。春先のことだ。
「そこでもスクラムでボコボコにされてました。(左PRの)野村(三四郎)くんは本当に強かった。最初の一発目で無理やと(笑)。そこで責任感が生まれたというか、しっかり頑張ろうと…。それから練習後の自主練でタイヤ押しをするようになりました。京産がそのスクラム練習の後にやっていて、これをやれば強くなるんやと」
中学までは野球少年だった。堺市立原山台中では3番ピッチャーでキャプテン。しかし、惜しまれながらも高校からラグビーを始めることは3年の初めには決めていた。
「兄貴も中学までは野球でしたが、高校からラグビーをやっていて。そんな感じでずっと兄貴を追っていました。目指したくなる人というか、カッコ良かったんですよね」
2歳上の兄・拓人は浪速高、朝日大でラグビーを続けた。大学4年時は同じPRだった。
「オカンに私立はあかんと言われて」、公立校で一番強いラグビー部を探した。それが摂津高校だった。
「サイズを大きくしてから入学しました」
10人強の同期の中で、高校からラグビーを始めたのは原渕ともうひとりだけだった。
「最初は大変で、正直めちゃくちゃキツかったです。でも同期はすごく仲良くて、なにより試合が楽しかった」
第1列でもパスが上手なのは(京産大戦でも正確なオフロードパスを披露)、高校時代にハンドリングスキルをみっちり叩き込まれたおかげだ。
指導にあたった天野寛之監督(現大阪緑涼)は、原渕の大学進学も導く。
摂南大では2年時から出場機会を多く得た。
摂津高OBの活躍も刺激になった。昨季、帝京大の日本一に貢献した白國亮大(現大阪府警察)だ。2学年上の先輩にあたる。
「いつも動画でチェックしてました。先輩がああいう姿を見せてくれた。摂津からでも活躍できる、自分もいけると励みになりました」
今季は昨季の実績を買われ、3年生ながらスクラムリーダーを任されている。
「意識も変わりました。押された時は自分のせい、という気持ちでやってます」
10月9日は同志社大とぶつかる。同級生のPR山本敦輝との対戦は叶わないが、春同様、スクラムで圧倒しチームの勝利につなげたい。
「僕らは2敗してるので、次負けたら選手権はかなり遠のく。この試合にかけてます」
ファーストスクラムに注目だ。