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東海71-15法政。「逃げない」東海、途切れぬサポートでチャレンジャー突き放す

2022.10.03

スピード、駆け引き。ウインガーらしいWTB、東海大・岡村優太(撮影:齊藤豊)

法大本来の小気味よいタックルはこの日、炸裂機会が少なく(撮影:齊藤豊)
東海大CTB伊藤峻祐主将。攻守の要として存在感を増す(撮影:齊藤豊)

 前半、東海大7-5法大から、東海大が決めた連続トライが大きかった。その2本目にあたるトライは鮮烈だった。中盤で相手SHからのハイボールをキャッチ。G前までつないだアタックからいったん、相手のインターセプトに遭う。自陣のスペースに蹴り込まれたキックを掴む。また攻める。そのサポートが厚かった。

 法政の必死の戻り、タックルをも凌いだ。東海大の前に出る勢いが止まらない。次々とトップスピードの受け手が現れる。それを生かす短いパス、深いパス。そしてオフロードの確度を上げる踏ん張りの強さが、印象的だった。最後はFL薄田周希がインゴールへ。Gも決まって東海19-5法政に。

「東海さんのうまいアタック、よく研究された攻撃に失点を重ねてしまった」(新宮監督)と振り返る法政は直後にPGで11点差とするが、前半38分にも東海がトライを決めて東海26-8法政に。点差よりもトライの内容が堪えただろう。前半時点でチカラの差を見せつけた。

 10月2日、小田原城山陸上競技場で関東大学リーグの第3節がおこなわれ、東海大が法政大を71-15で圧倒した。東海大は後半、6トライ45得点を積み上げた。必死さ、ひたむきさを「取り戻した」東海大が、本来の力を発揮しつつある。

「そもそも何がダメなの、足りないの? って問いから始めました」(東海大・木村季由監督)

 リーグ戦初戦では、1部昇格したばかりの東洋大に敗れた。2週空けて前節・立正大でも苦戦する場面があった(スコアは47-21)。この1週間のテーマは「必死にやる」。シンプルに、「笛から笛まで、全力でやりきることから」(CTB伊藤峻祐主将)始めたという。「はじめから逃げない、かわさないこと。それができた結果だと思う」(木村監督)

 この日の東海は、一発一発のコンタクト、フィジカルバトルにまずこだわった。「こちらが前に出る勢いが出て、相手が下がらざるを得なくなった」(SO武藤ゆらぎ)。「その結果、相手の特徴である前に出るディフェンスができなくなって、こちらはBKがスペースを見ることができたと思います」(武藤)

 東海大は、2節目までに出た教訓を一つひとつ、乗り越えている。

 法大は、自信をつかみつつあったディフェンスを発揮できず苦杯をなめた。

「80分間、そこを修正できないままいってしまった」(FL吉永昂生主将)。新宮監督の目線はブレない。「前に出るディフェンスで勝負する。そのスタンスを変えるつもりは一切ない。相手にずらされたなら、相手がずれられない位に前に出るのみ」。吉永主将も率先して、基礎から、相手の足元へ踏み込むタックルを磨いてきた。「以前は出るところ、出ないところがチームとして曖昧だった。それをはっきりして共有している」(吉永主将。日大を破った前節の試合後に)。「出る/出ない」の場面ごとの判断やその意思統一とともに、前に出るディフェンスの圧力そのものを高めてシーズン中盤に向かう。

 次節、東海大は流経大(他会場にて、昨年リーグ2位の日大を撃破)と、法政大は関東学大と対戦する。