頑張る理由があった。
流経大ラグビー部4年の堀井雄登は、9月25日、加盟する関東大学リーグ戦1部の大東大戦に先発した。
付属の大東大一高出身とあり…。
「大東大は絶対、倒すって決めていました」
2年時の直接対決でも先発して勝利も、本格的に1軍に絡むようになった昨季の対戦は故障もあり欠場。秋に限れば最後の対戦となったこの日は、1トライ5ゴールの計15得点を奪ってリーグ開幕2連勝に喜んだ。
会場となった埼玉・セナリオハウスフィールド三郷では、試合後の記者会見にも登壇。白い14番のジャージィのまま、プレイヤーオブザマッチ受賞で得られたメダルを首から下げていた。
この午後は前半に36-10と勝負をつけながらも、中盤にやや足踏みしていた。そのため試合内容について聞かれれば、つつましい言い回しに終始する。
「後半は大東大さんの攻撃にやられて、全然、自分たちのアタックができなくて、厳しい戦いになりました。ただ最後には、自分たちのアタックでトライが獲れた部分もあった(後半36分にだめ押し)。ここを勝ち切れたことは、自分たちの今後につながると思いました。以上です」
すると、横にいた内山達二監督は「さっきと話していたことが違うな。だいぶ、意気揚々としていたのに」。本人は、下を向き笑う。
そしてこの日への思いを、改めて口にした。
「滾(たぎ)って、倒すと決めていました」
身長165センチ、体重80キロと小柄も、腰の強い走りと果敢な空中戦へのチャレンジが光る。
楕円球と出会った場所が大東大一高だった。相手FLの吉瀬航汰共同主将は、高校時代の同級生だ。
高校から大東大のラグビー部に進める枠に限りがあったこともあり、堀井は「(内部進学の場合は)大学ではラグビー自体をやるつもりがなかった」。指導者に勧められた流経大の展開攻撃に惹かれ、いまに至る。
「(流経大には)感謝しかないです」
高校生まで義務付けられるヘッドキャップを、久しぶりに昨季からつけることにした。
「ヘッドキャップをかぶると気合いが入るというのに3年目に気づいて、かぶり始めました」
色はワインレッド。流経大柏高のもので、同高から流経大に内部進学した同期の岡田和暉副将にもらったという。
リーグ戦での順位は一昨季こそ8チーム中2位も、昨季は5位と苦しんでいた。学生ラストイヤー。前年度の上位3傑がすでに1敗以上という混戦にあって、抜きん出た存在となりたい。ゆかりのない相手からもトライを獲る。