リーグ4連覇中の王者・東海大に続いて、昨季の4位チームも破った。
29年ぶりの関東大学リーグ戦1部復帰の年に開幕から2連勝だ。
9月25日、セナリオハウスフィールド三郷で東洋大が関東学院大(以下、それぞれ東洋、関東学院)に38-31のスコアで勝った。
接戦を制しての勝利だった。
前半5分にWTBボンド洋平のトライで先制するも、前半の終盤には一度逆転を許す展開だった(35分、19-20)。
しかし39分、SH神田悠作が好判断から密集横を走ってトライを奪う。26-20としてハーフタイムを迎えた。
その神田は試合を通して活躍し、この一戦のプレーヤー・オブ・ザ・マッチに選ばれた。
後半14分、18分と2つのPGを決められて26-26とされるも、その苦しい展開の中でも背番号9の判断はぶれない。
24分、神田は前半に続いて自ら走ってトライ(Gも決まり33-26)。終盤にはSOの位置に立ってチームを勝利に導いた。
中継した『J SPORTSオンデマンド』のランニングタイムでは、フルタイムのホイッスルが鳴ったのは92分20秒という熱戦。
東洋大は最終的に、ディフェンスで勝利をつかんだ。
後半28分、関東学院にスクラムから攻撃を重ねられてWTB安藤悠樹にトライを許す。33-31と迫られた。
37分、スクラムで得たPKからラインアウトに持ち込み、モールでトライを奪って38-31と差を広げた。
しかし、そこからの時間が長かった。
初戦の流経大戦に14-55と大敗し、この試合へ「ハードワーク、オールアウト」(HO米井翔啓主将)の決意で臨んだ関東学院は試合終了間際、約4分、28次に渡って攻撃を継続させる。
それに対して東洋はノーペナルティで守り続け、最後は相手の反則を誘って決着をつけた。
2週間前(9月11日)のビッグパフォーマンス(東海大に27-24と勝利)後、初めての試合。
東洋にとってはメンタル的に難しい面もあった。
LO齋藤良明慈縁(らみんじえん)主将も「浮わついたところがあったかもしれません」と認めた。
「関東学院のエネルギーも感じたし、素晴らしいプレーもありました。ただ自分たちにフォーカスすると、(ミスなどで)自ら首をしめたところもあった。まだ2試合。試合を重ねていく中で強くなっていきたいと思います」
キャプテンは、歴史的勝利を挙げた2週間前からの心の動きを話した。
「浮わつかないように。気を引き締めよう。キャプテンの自分をはじめ、みんなで言って、そうしてきたつもりでした。この試合が難しくなるというのも分かっていましたが、前のめりになって自滅した感じです。すごい数のノックオンがあった」
積極的にプレーする意識が、結果的に焦りにつながった。
福永昇三監督も、「(東海大戦勝利で)一夜にして大きく状況が変化しました。(昨季まで2部で)記者会見の経験もなかったチーム。いつも通りといっても学生です。(状況変化の)影響を受けるのは仕方ない。その中、勝つことができて良かった」と話した。
揺れ動く心情にもかかわらず勝利を手にできたのは、立ち返る場所を見失わなかったからだ。
齋藤主将は終盤の自分たちのプレーを振り返り、「セットプレー、ディフェンスをしっかりできたシチュエーションで(自分たちは)得点を取れていたので、そこに集中しようと声をかけ合いました」と話した。
関東学院のエナジーをはね返してつかんだ勝利は、あらためて自分たちがチャレンジャーであることを感じた試合。
次戦は大東大戦。10月2日、セナリオハウスフィールド三郷がふたたび戦いの場となる。