9月24日、リコー総合グラウンドで、ブラックラムズ東京対三菱重工相模原ダイナボアーズのプレシーズンマッチがおこなわれた。12月17日のリーグワン開幕戦でも対戦することになっているカードだ。
台風の影響で前日から降り続いていた雨は、キックオフの13時直前には止んだ。ただ天然芝のグラウンドには水が溜まり足元は悪く、お互いにキックでエリアを取る展開となった。
先制したのはブラックラムズ。前半10分過ぎ、相手のキックをキャッチしたWTBヴァカヤリアがカウンター、そこからBKに展開するとCTB池田悠希が大きくゲイン。たまらずダイナボアーズがオフサイドの反則で、ブラックラムズがPKからタッチキック。マイボールラインアウトをモールで押し込み先制トライを挙げた。25分過ぎには敵陣ゴール前のラインアウトからBKに展開し、CTB礒田凌平が相手を引きずりながらゴール下に飛び込み12-0と追加点。
「チームとしては、まだアタックの部分はやっておらず、個々のスキルを磨いている段階」と南ゲームキャプテンがいう通り、ブラックラムズは単発なアタックが目立つも得点を上げることで試合の主導権を握った。
対するダイナボアーズは、30分過ぎから相手の反則でタッチキックから何度もゴール前マイボールラインアウトを得るも、ブラックラムズのしぶといディフェンスに阻まれ、ノックオンや反則で得点に結びつけられなかった。結果的には、前半のチャンスに得点できなかったことが大きく響いた。
後半に入っても、ダイナボアーズの攻撃の核となるNO8ウルイヴァイティに対しブラックラムズがしっかり体を当ててディフェンス、突破を許さない。逆にブラックラムズは自陣10メートル付近のPKから素早く展開、ラックサイドをWTBヴァカヤリアが突破し、そのままインゴールを駆け抜けて19-0とした。そして直後には再びPKから大きくBKに展開、最後は今季新戦力として加入したWTBシオペ・タヴォがタックルをかわして左隅にトライ、24-0とダイナボアーズを引き離した。
しかし、このままでは終われないダイナボアーズは、20分過ぎに相手の反則からタッチキックでゴール前マイボールラインアウトを得ると、今度はしっかりモールを組んで押し込み右隅にトライ。そして30分過ぎには相手スクラムからSHのキックをチャージしてチャンスを作ると、SO石田一貴が敵陣深くキック、これをWTBヴァカヤリアが後逸し、ボールがインゴールに転がるところをダイナボアーズが押さえて24-12とした。しかし、ダイナボアーズの反撃もここまで。
勝ったブラックラムズのピーター・ヒューイット ヘッドコーチは「まだチームトレーニングはあまりやっておらず、課題もたくさんあったけど、やっていないにも関わらずフィジカリティ、コンタクトの部分は良かった。春からリコーのDNAの話を沢山してきました。泥臭さ、粘り強さ、ネバーギブアップ、今日はそれを見せてくれたと思う」と試合を振り返った。特に「前半のゴール前のディフェンスはよかった」と、前半を0点に抑えたことを評価した。
一方、敗れたダイナボアーズのグレン・ディレーニー ヘッドコーチは「相手は前半いいスタートを切ったけど、最後はダイナボアーズが2トライを挙げていい終わり方をしたと思う。フィジカルの部分では負けていなかったし、ブレイクダウンのボールをスティールするのが自分たちの強みだと思うが、今日はそれができていたと思う。12月17日の開幕戦にいいパフォーマンスが出せるように毎日成長し続けていきたい」と手ごたえを口にした。そして「次(10月21日)は日本一のチーム・パナソニックとの対戦なので、我々にとっていいチャレンジになると思う」と話していた。
●ブラックラムズ 南昂伸ゲームキャプテン試合後のコメント
「今シーズン1試合目ということで、出るメンバーは気合が入っていました。今日のテーマは泥臭く、リコーらしく最後まであきらめないで戦うこと。前半はO点で抑えてしっかり守れていたし、トライを取るところはしっかり取れました。後半は相手の勢いに押されるところもありましたが、リコーらしいディフェンスも出来たし、いいスタートが切れたんじゃないかと思います」
●ダイナボアーズ 奈良望ゲームキャプテン試合後のコメント
「自分たちのミスで自分たちの首を絞めてしまった。そこが大きな修正ポイントだと思います。今日はディシプリン(規律)のところ、ペナルティをしないというところをメインにチームでは話をしていたんですけど、また次の課題となってしまいました。ただ春からきついところでも走るのをみんな頑張ってきて、それが試合の終盤で出たと思います。少しずつ成果が見えてきました」