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関西王者・京産大は「一戦、一戦、全力で戦わないと危ない」。下馬評有利も地に足をつける。

2022.09.17

天理大と二強を形成か、京産大(撮影:佐藤真一)


 京産大ラグビー部は昨季、加盟する関西大学Aリーグで23年ぶりに優勝。冬の全国大学選手権でも、2006年度以来となる準決勝進出を達成した。

 昨季の全国4強のうち、関西勢は京産大のみだった。さらに新シーズンも、春季トーナメントで、天理大と両校優勝。前年度のレギュラーが多く残り、新人WTBのシオネ・ポルテレは圧巻の破壊力をアピール。さるリーグワン関係者は、「関西では京産大が優勢か」と見る。

 しかし就任2年目の廣瀬佳司監督は、地に足をつける。

 9月18日、大阪・東大阪市花園ラグビー場での初戦では、昨季最下位と苦しんだ関西学院大が相手となるが、「開幕戦をいかに乗り切るかに集中しています」と指揮官。終盤に控える上位校とのカードよりもまず、目の前のカードに集中する。

 2019年度まで47シーズンも指導した大西健前監督は、「うちはひたむきにやらないと、並みのチームになってしまう」と繰り返していたもの。体制が変わったいまの京産大も、そのスタンスを貫く。

 相手を丸のみしにかかるふてぶてしさよりも、猛練習への耐性と接戦時の粘りを金看板に掲げる。廣瀬監督は続ける。

「去年の関西リーグを振り返りますと、ほとんどが接戦でした(7戦全勝も10点差以内が3度)。春も点数の空いた試合はありましたが、内容はそこまで圧倒してはいなかった。とりあえず一戦、一戦、全力で戦わないと危ないと感じます」

 夏の菅平合宿では、「関東の大学との試合を通して、足らないところを見つけたい」。タフな日程で練習試合を組んだ。主力組は8月23日に日大、25日に早大、27日に流経大と激突し、戦績を2勝1敗とした。

 それほどメンバーを入れ替えなかっただけに疲れもあったはずだが、3戦目では関東大学リーグ戦で優勝経験のある流経大を56-0で下している。

「チームを固める時期に入っていましたので、できるだけ同じメンバーで戦いたかった。3試合とも80分間、フルで出た選手もいます。けが人も何人か出ましたが、それほど影響のないけがでした。収穫は、フィジカル面で関東の大学にも引けを取らずにできたことです」
 
 課題を見つけたのは、2019年度日本一の早大とのゲーム。22-40で屈するまでの間、大外のスペースを突き破る速さと技に舌を巻いた。何より京産大が強みにしたいスクラムで、かえって早大の一丸となった強さを体感した。

「早大さんに学ぶところが多かった。我々も(FWの)8人でまとまって、押し方の精度を上げないといけない」

 残暑厳しい京都へ戻ってからも、走り込みとセットプレーの確認を淡々と続ける。

 シーズン開幕後は昨年に引き続き、ペナルティキック獲得後のプレー選択は選手へ一任。昨季ブレイクし、今季は故障欠場中というFLの三木皓正には「タックルがいいですし、今年はボールキャリー(突破役)としても成長を見せていました。リーダーシップもありますし、早く帰ってきて欲しい」と期待する。

 かたや自身は、自らのタクトで組織の活力を引き出す。調子がよかったり、進境著しかったりする選手を積極的に登用し、選手層を広げたい。

「関西で優勝して、全国ベスト4まで行けた。春も関西タイトルを獲れた。自信をつけています。気を引き締める部分とのバランスを取りながらやらないといけないですが、選手はその気になってやってくれている」

 このチームのOBで、トヨタ自動車(現・トヨタヴェルブリッツ)時代は日本代表の司令塔にもなった廣瀬監督。「去年より上の順位に行くのであれば、全ての強化が必要」と、シーズンを通して成長し続けたいと話す。

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