9月11日、熊谷市内で埼玉パナソニックワイルドナイツの優勝パレードがおこなわれた(主催は熊谷市)。選手、スタッフを合わせ60人以上が参加、市役所から続く並木道沿い約350㍍を歩き、多くのファンに祝福された。集まったファン、サポーターはおよそ1万人。道の両側に設けられた手すりに幾重にも人が連なる盛況だった。道の中ほどには記念撮影用のお立ち台も用意され、声援に応えて選手が順に登壇し、駆けつけた人々を喜ばせた。
パレード後のセレモニーはミヤッキーことOBの三宅敬さんの進行で約30分間おこなわれた。選手代表としてスピーチに立った坂手淳史は、優勝から3か月以上が経ってのイベントに「どれだけお客さんが集まってくださるか不安だった」。そして実際の沿道の賑わいに驚いたという。「これだけ愛されているチームで、ラグビーができていることに幸せを感じます。応援してくれる皆さんがいるので、僕たちは戦えているとあらためて思います」
選手たちの中には、段ボールに貼り付けた選手の顔写真を持っている者もいた。参加できなかった選手や、移籍選手、引退選手のものだ。「ここにいる選手、スタッフはもちろん、来られなかった選手たちみんながあっての優勝」(坂手)。選手たちの心憎い演出だった。
セレモニーではロビー・ディーンズ監督もファンに語りかけた。「熊谷を、日本一、世界一のラグビータウンにしていきましょう」。
そして飯島均GMが壇上で紹介したのはある女子中学生の話だ。
「さくらオーバルフォートにも練習を見にきてくれている中学生なのですが、彼女は自分の学校で、なんとかワイルドナイツの魅力をみんなに知ってほしいと活動している。それがうまくいかない。飯島さん、力を貸してくれないか――というお便りをいただいた。私は会ってお話をしましょうと返事をしました。まず、私たちチームが彼女にエナジーを与えていることがとてもうれしかった。そして、彼女と話をして、今度は私がものすごくエナジーをもらいました。また頑張ろう! と思いました。私たちは、こうしたやりとりを、これからも皆さんとどんどんしていきたいのです」。地域に生きるチームの喜びを伝えた。
ホストとなった熊谷市長・小林哲也氏の挨拶で始まったこのイベントには、埼玉県知事・大野元裕氏、群馬県大泉町長・村山俊明氏ら、そして熊谷のラグビータウン化を強力に推進した熊谷前市長の富岡清氏も招かれた。リーグワン連覇、最後のトップリーグから続く3連覇へ向かう、チームの晴れやかなスタートとなった。