再び大学王者として臨むことになった真紅の常勝軍団。関東大学対抗戦Aの開幕節が9月11日に秩父宮ラグビー場でおこなわれ、帝京大は立教大を88-0で圧倒した。
26年間指揮を執り、同校を10度の日本一に導いた岩出雅之前監督が昨季限りで退任。今季から教え子にあたる相馬朋和監督にバトンが渡った。新監督は初陣を勝利で終え、そっと胸をなでおろす。試合後の記者会見で正直な思いを吐露した。
「おそらく横に座ってる2人(松山主将とHO江良)よりも緊張していた。なんとか勝利で終えられたことにほっとしています」
ディフェンスの強化を掲げる立教大に対して、序盤からトライを重ねた。身上のコンタクト局面で優位に立った。
ファーストトライは前半4分。SO高本幹也がディフェンスの網目を縫うようなランで抜け出し、サポートしていたFB谷中樹平がポール下に飛び込んだ。
スクラムでも前に出続けた帝京大は13分、5㍍スクラムからそのまま押し切って2トライ目を挙げる。その後もFL青木恵斗がライン際を再三突破するなど、前半だけで8トライを奪い50-0で折り返した。
後半も高本の長短織り交ぜた正確なパスとキック、SH李錦寿のサポート、WTB小村真也の自在な走りなど、個々が能力の高さを見せつけて6トライを追加。42分にルーキーSO、大町佳生がチーム14本目のトライを奪って、ノーサイドの笛が鳴った。
今季就任の立教大・元治裕一監督は「王者の胸を借りるつもりではありましたが、ディフェンスがいまいち機能しなかった」と、夏合宿で手応えを掴みかけた防御面での課題を挙げた。
一方、帝京大のCTB松山千大主将は「まず自分たちが大事にしているコンタクトの部分でしっかり圧倒しようと。試合の入りから最後までそれができたと思います」と秋の初戦を振り返った。
記者会見では同会場で先におこなわれた東洋大のアップセット(リーグ戦4連覇中の東海大撃破)にも話が及んだ。相馬監督は「(どうしても)気になりましたよね」と認めるも、すぐに切り替えた選手たちを称えた。
「ウォーミングアップに行くときはスコアを気にしないように、と思っていましたが、ホーンが聞こえて東洋大が勝ったと分かったときは何かしらの動揺はあったと思います。(自分たちもそうなる可能性を考え)嫌だなと思いました。ただ選手たちはすぐに切り替えていて、リーダーたちが意識的に声の量を多くしていたように感じます。アップが進むにつれて顔色が変わり、大丈夫だと思えるようになりました」
松山主将とHO江良颯は相馬監督の印象を問われ、「コミュニケーションが取りやすい。なんでも話せる」と口を揃えた。
これに対し、相馬監督は「学生スポーツでの指導は今までと違うので、至らぬことばかりです。毎日学生よりも考えなければいけないと思いながらやっていますが、(その姿勢は)果たしてどうなのか。自分では評価できないので、今みたいな話を聞くと自信になるし、その部分は大切にしていきたいと思ってます」と答えた。
新指揮官は学生たちとともに成長し連覇を目指す。