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立正大、健闘あと一歩及ばず。終盤に日大が底力を見せつけ44-33で逆転勝利

2022.09.11

後半19分、日大はゴール前ラインアウトからモールを押し込み、HO林琉輝がトライ(撮影:高塩 隆)

 今季8年ぶりに1部昇格を果たした立正大は9月11日に地元・熊谷で開幕戦を迎え、前年2位の日大を相手に大健闘を見せた。

 立正大は開始早々に日大CTB普久原琉に先制トライを許すも、12分にSH中森隆太、16分にはFB清永修太郎の連続トライで勝ち越し、前半を19-17とリードで折り返した。

 この日、立正大はSHとSOからの徹底したハイパントで日大の強力FWを背走させ、高さのある186センチ・106キロのCTBキニ・ヴェイタタ、190センチ・101キロのNO8ユアン・ウィルソンがチェイスしボールを奪いに行く。「上位に勝つために選んだ戦法」(堀越正己監督)を貫き、試合の主導権を握った。

立正大の徹底したハイパント攻撃に苦戦を強いられた日大(撮影:高塩 隆)

 後半早々、立正大はスクラムでも日大にプレッシャーをかけチャンスを作る。

「前半手応えがあったので、後半思い切ってプレッシャーをかけていこうとチームの中で話した」(HO陣内源斗主将)。そして後半7分、立正大は相手ゴール前の日大ボールスクラムを一気に押し込んでボールを奪うと、NO8ユアンが拾ってインゴールに飛び込んだ。コンバージョンキックも決まって26-17。

 しかし、日大はガマン強く耐えた。立正大の「予想していなかった戦法」(中野克己監督)の前に苦戦を強いられ、自信のあるFW戦でも立正大の早い出足に後手に回るシーンも見られたが、平坂桃一主将は「前半の最後にいい形でトライを取って終わることができたので、後半はじめから巻き返していこう」とチームメイトを鼓舞。 

 そして、春にヘッドコーチに就任した菊谷崇氏のもと、徹底してストレングスとフィットネスを強化し、その成果が後半になって徐々に表れた。

「(その練習のお陰で)苦しい戦いの中でも、しっかり考えて修正することができたと思う」と平坂主将は振り返る。

 日大は衰えないフィットネスでしっかり相手に体を当てていき、これがボディーブローのように効き、徐々に立正大の正確なキック、しぶといディフェンスにズレを生じさせた。劣勢だったスクラムも試合の中でコミュニケーションを取りながら修正し、終了間際には逆にスクラムで反則を誘った。

 後半11分、日大は中央付近のスクラムからBKのサインプレーでFB普久原琉が大きくゲイン、素早くボールを出してフェイズを重ねて、最後はナサエル・トゥポウからボールをもらったWTB水間夢翔がトライ。8分後には相手ゴール前のラインアウトからモールを押し込んでHO林琉輝がインゴールでボールを押さえて逆転すると、試合の流れは徐々に日大に傾き始めた。

 32分、自陣ゴール前ラインアウトから立正大NO8ユアンに逆転トライを許したが、その直後の36分には敵陣ラインアウトからボールをつないだ日大は、CTBジョアナ・ベコがラックサイドを抜け出しそのままディフェンスを引きずってインゴールを陥れた。前川李蘭のゴールも決まって34-33と日大が再逆転に成功。終了間際にはFWの前進からショートでパスをもらったLO太田寿一郎のトライで立正大を突き放した。

 最後にPGも加えて44-33で日大の勝利。

「春から結果が出ず、今日も苦戦を強いられたが、最後の最後に修正できて勝ち切れたことが収穫」。試合後に平坂主将は安堵の表情を見せた。

 一方、敗れはしたが1部上位校に真っ向勝負を挑んで善戦した立正大も「自チームの強みを生かす準備をしてきて、それはしっかり出せたと思う」と堀越監督も手ごたえをつかんだようだ。

「シーズンが始まったばかり、ここがスタートという気持ちを持ってさらに成長していきたい」と立正大・陣内主将も次なる戦いをしっかり見据えていた。