ついに開幕した大学ラグビー。卒業と入学で毎年大幅にメンバーが入れ替わる学生ラグビーでは、将来を嘱望される逸材の成長や新戦力の台頭を目の当たりにすることも、大きな楽しみのひとつだ。今季の主役となりそうな注目プレーヤーたちを紹介する。
王者帝京を牽引するFL奥井。早稲田・佐藤は新ポジションで高い適正を発揮
大学選手権連覇を目指す帝京大は前年度の優勝メンバーが数多く残り、今シーズンも世代屈指の俊英がひしめく豪華布陣となった。その中でも主軸として力強くチームを牽引しているのが、FL奥井章仁(3年/大阪桐蔭)だ。高校時代から猛烈な推進力と球際の強さで圧倒的な存在感を示してきたが、大学入学後は動きのキレが向上しバックローとして一段とスケールアップを遂げた。今季はオープンサイドFLとしてHO江良颯(3年/大阪桐蔭)、FL青木恵斗(2年/桐蔭学園)らと強力FWを形成し、より幅広い局面で力を発揮しそうだ。
昨季関東大学対抗戦2位の早稲田大では、NO8からHOに転向した佐藤健次(2年/桐蔭学園)に大きな期待がかかる。強靭なフィジカリティと非凡なランニングセンスでルーキーイヤーの昨年も鮮烈なインパクトを残したが、国際舞台で戦うことを見据え、この春からFWの最前列へと持ち場を移した。スクラムやラインアウトスローでさっそく高い適応力を見せており、底知れない潜在力がどのように花開いていくのか楽しみだ。SH宮尾昌典(2年/京都成章)、PR亀山昇太郎(2年/茗溪学園)とともに1年時からレギュラーを務める同期にも注目したい。
前年度大学選手権準優勝の明治大で鍵を握るのは、SO伊藤耕太郎(3年/國學院栃木)だ。相手防御の穴を見抜く眼力と芝の上を滑るようなランを武器に、昨秋から紫紺の司令塔に定着。今季はフィジカル強化でラインブレイク力に磨きがかかり、プレーメーカーとして攻撃を牽引している。夏合宿ではややチーム状態が下向きだっただけに、復調の起爆剤として重要な役割を担うことになる。
昨季対抗戦4位の慶應義塾大は、最終学年を迎えたLOアイザイア・マプスア(4年/キンズスカレッジ)や高校時代に花園連覇を経験しているHO中山大暉(2年/桐蔭学園)など、FWに実力者がそろう。同6位から巻き返しを期す筑波大では、CTB浅見亮太郎(2年/流経大柏)の度胸満点の攻守と、WTB大畑亮太(2年/東海大仰星)の快足が必見だ。
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大学屈指の司令塔、東海大SO武藤。日大WTB水間の突進は威力抜群
続いて関東大学リーグ戦を見ていこう。リーグ5連覇がかかる東海大では、1年時から10番を背負ってきたSO武藤ゆらぎ(3年/東海大仰星)が上級生となり充実期を迎えている。夏合宿では同志社大戦、天理大戦、慶應義塾大戦すべてに先発し、切れ味鋭いランと的確な状況判断で多くのチャンスを作り出した。みずからのリードでチームを悲願の日本一へと導くことができるか。高校時代からの同級生で総合力の高いFB谷口宜顕(3年/東海大仰星)、168cm、73kgと小柄ながら抜群の決定力を誇るWTB中川湧眞(2年/京都成章)も、パワーランナーが多い布陣の中で貴重なアクセントを与えている。
その東海大と昨季6勝1分けで並び得失点差で2位となった日本大は、FWの顔ぶれが大きく入れ替わったこともあり、BKの活躍が上位進出への条件となる。とりわけキーマンになりそうなのは、WTB水間夢翔(4年/佐賀工)だ。171cm、93kgの強靭な肉体と回転の速いピッチを生かした突進力が魅力の“ポケット・タンク”で、さまざまな局面に現れてはビッグゲインを連発する。柔らかさと速さを兼ね備えるWTBナサニエル・トゥポウ(4年/マリストブラザーズ)、独特のリズムを有するFB普久原琉(4年/コザ)と形成するバックスリーは、相手にとって脅威となりそうだ。
昨年リーグ戦3位の大東文化大では、CTBハニテリ・ヴァイレア(2年/青森山田)の名前を挙げたい。トンガ出身らしいパワフルなランニングに加え器用さもあり、今春の関東大学春季大会ではゴールキッカーを務めた。日本大戦ではひとりで3トライ4ゴールの23点をマークしており、チームの大きな得点源となりそう。4位以降の各大学にも、関東学院大のNO8ラリー・ティポアイルーテル(1年/倉敷)、流通経済大のCTB土居大吾(4年/流経大柏)、法大のFB石岡玲英(3年/御所実)ら楽しみな存在は多い。29年ぶりの1部復帰となる東洋大の新留学生、211cm、135kgのLOジュアン・ウーストハイゼン(1年/ヘルプメカールカレッジ)は、規格外のサイズで多くの視線を集めそうだ。
→次ページでは関西のルーキーたちに注目
怪物WTBポルテレは関西を席巻するか。実力者ぞろいのルーキーに期待
関西勢に目を向けると、関西大学春季トーナメントで鮮烈なデビューを飾った京都産業大の怪物WTB、シオネ・ポルテレ(1年/目黒学院)がリーグを沸かせそうだ。184cm、110kgの筋肉の塊のような体に50m5.9秒のスピードを有し、ライン際を爆走する姿は迫力満点。明るくエナジーに満ちたキャラクターでもチームの活力となっている。猛タックラーの両FL、福西隼杜共同主将(4年/報徳学園)と三木皓正(3年/京都成章)や、学生屈指のプレースキッカーであるFB竹下拓己(4年/東福岡)と他のポジションに特長のある選手が並んでおり、どんな戦いぶりを披露するかが注目される。
京都産業大と関西の覇権を争う存在と目される天理大にも、活躍が楽しみな実力者は多い。とりわけ浮沈の鍵を握りそうなのがSO福本優斗(3年/上宮太子)だ。昨季のリーグ戦開幕時はCチームでプレーしていたが、最終戦の同志社大戦で先発の10番に抜擢。終了間際の逆転サヨナラPGを含め計5本のゴールキックをすべて決め、プレーヤー・オブ・ザ・マッチを獲得した。精度の高い右足のキックに加え、ラインコントロールでも非凡なセンスを有しており、若いメンバーの力を引き出すことが期待されている。
昨季2位と大躍進を遂げた近畿大では、抜群の決定力を誇るフィニッシャーのWTB植田和磨(2年/報徳学園)と、キックやパスなどを駆使しさまざまな局面に絡むNO 8小寺直希の2年生が大きな存在。可能性を秘めた197cmの長身ルーキー、LO能瀬涼太郎(1年/川西北陵)の成長も楽しみだ。7季ぶりの関西制覇を狙う同志社大は、NO8林慶音(1年/大阪桐蔭)、SO大島泰真(1年/京都成章)と高校時代から名を馳せてきた大物新人がすでにAチームに定着。ともに世代随一の実力を備えた逸材で、勢いあるプレーでチームを活気づけている。
そのほか、立命館大のNO8島正輝(1年/大分舞鶴)、関西大のLO中村豪(1年/常翔学園)、摂南大のWTBカストン・マイケルズ(1年/アウテニクワ高)、関西学院大のFB武藤航生(1年/関西学院)と、今シーズンの関西は1年生に実力者が数多く並ぶ。リーグ戦をヒートアップさせる新戦力の台頭に、ぜひ注目してほしい。
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