ジャパンラグビートップイーストリーグの2022年シーズンがまもなく開幕する。
リーグワンの開催が12月中旬以降となるため、社会人ラグビーファンなら秋のラグビーシーズンはトップイースト、トップウエスト、トップキュウシュウらの大会に関心を向けてみるのもいいだろう。
そこで強豪大学チームを卒業した選手、リーグワンを引退した選手なども多く活躍するトップイーストリーグの監督、ヘッドコーチにお集まりいただき、各チームの戦力や互いのチームについての分析を座談会形式で伺った。
2回にわたってお届けする企画、前編は9月11日に第1節を迎えるトップイーストグループBの5チームだ。
文中各チーム一押しの選手紹介もあるので注目願いたい。
昇格して勢いのある丸和運輸が台風の目か。
昨年ドローの富士BI vs 明治安田2年越しの決着は?
司会(ライター鈴木、以下司会):今日はお集まりいただきありがとうございます。いよいよトップイースト開幕となるわけですが、第1節で対戦する相手に対して、どんなチームと分析しているのか、どう戦うのか、差し障りのない範囲で教えてください。
クリーンファイターズ山梨 福島正人ヘッドコーチ(以下、山梨):ウチは丸和さんと対戦しますが、若い勢いのあるチームで強化も順調に進んでいるようで、グランドも素晴らしいですし、脅威に思っています。初戦にして大一番だと思っています。我々としては経験値という部分で対抗して、いいゲームにしたいと思っています。
丸和運輸機関AZ-MOMOTARO’S 内山将文ヘッドコーチ(以下、丸和):山梨は体も大きく、経験値の高い外国人もいるので、対戦が楽しみです。
司会:これは若さ対ベテランの対決という感じになりそうですね。
山梨:おじさんパワー全開で頑張ってゆきます(笑)。
明治安田生命ホーリーズ 長田悟ヘッドコーチ(以下、明治安田):ウチの初戦も丸和さんなのですが、昨年一度春季大会で対戦して、ちょっと冷や汗をかきました。確かに若手が多く勢いのあるチームです。私が言うのもなんですが、グラウンドも含めて、しっかり強化しているチームは強くなっていくのかなと思います。我々も気を引き締め、メンタリティのところも含めて、集中してやりたいです。
日立SUN NEXUS 茨城 田井中啓彰ヘッドコーチ(以下、日立):(Cグループから昇格してきたので)丸和さんがどんなラグビーをするのか楽しみです。
丸和:実は、過去に全チームと対戦しているのですが、一つも勝てていません。僕らがどこまでチャレンジできるのかなあという感じです。その意味で今回の対戦は、楽しもうと、チーム内では言っています。
司会:なんとなく丸和さんが台風の目になりそうな予感ですね。
日立:ウチの初戦は富士フイルムビジネスイノベーショングリーンエルクス(以下、富士BI)さんですが、昨年は負けています。前に出るディフェンス、FWのセットプレーも強いので、そのあたりにどう対抗するかですね。
富士BI 小熊康洋ヘッドコーチ:昨年はコロナの影響で、日立さんとの対戦は1試合でした。その試合で日立さんはキックとスピードのあるランナーを有効に使い、統制のとれたチームだなと思いました。ですので、あまり勝ったという印象はないです。ちなみに私は田井中コーチの大学の後輩でもあるので、その点でも対戦は楽しみです(笑)。
初戦以外では、明治安田さんとの対戦もとても楽しみにしています。昨年1勝1敗だったので、今年は白黒つけられればいいなと思っています。
各チームの個性は?
スピードの日立、パワーの山梨、ディフェンスでは明治安田と富士BI。
丸和はコンタクトプレーに自信。
司会:では次に「ウチのこのプレーを見てほしい」というものを事前に考えてきてもらいました。まず山梨さん、大型CTBの攻撃力とあります。
山梨:クリスチャン・ロアマヌとシオネ・トケ。大柄なトンガ人2名を並べるなどして、BKのゲインライン突破の原動力にしていきたいと考えています。相手がディフェンスに人数をかけるような展開にもっていきたい。(写真①②)
富士BI:ウチはディフェンスをテーマにやってきました。ディフェンスでプレッシャーをかけてやっていきたいです。(写真③④)
明治安田:ウチも原則に立ち返って、ディフェンスでどれだけ時間とスペースを取れるかということで、取り組んでいます。(写真⑤⑥)
司会:山梨の大型BK対ディフェンスが売りのチームの激突は楽しみですね。富士BIと明治安田さんの対戦は通ごのみの、ラグビーファンにはたまらない試合になりそうですね(笑)。
日立:ウチはゲームスピードにこだわります。グラウンドを広く使って、パススピードだったりランスピードだったり、どこまでできるか楽しみです。(写真⑦⑧)
丸和:ウチはコンタクトを挙げました。Bグループはこれまでとはスピードも体の強さも違うと思うので、そこにどこまで通用するのか見てみたいです。(写真⑨⑩)
司会:どうやら、バチバチと体を当て合うところが見どころになりそうですね。トップイーストは観客がグランドの脇で観戦できますから、迫力のあるプレーを間近で味わえると思います。
ホーム&アウェー方式のみどころは?
司会:ところで、Bグループはホーム&アウェー方式です。これによる難しさはありますか?
山梨:実力拮抗のチーム同士なので、息が抜けませんね。
富士BI:2回対戦するということで、分析なども難しくなるのですが、そこがまた面白さでもあります。
司会:手の内を知り尽くした者同士の戦いになるということですね。
明治安田:2戦目になるとかなり対策を打ってきますので、それにどう対処するかはコーチ陣、チームの力が問われることになります。実は昨年のウチは、アウェー戦でほとんど負けています。1戦目をどう勝つかというのは結構大事になりますね。
日立:ウチがまさに、明治安田さんとの2戦目に勝てたんです。そこで選手の成長を感じられました。
丸和:その話、勉強になります。心構えも引き締め直します(笑)。チーム力全体を問われるリーグです。それをお客さんに見せていきたいですね。
【座談会を終えて】
トップイーストリーグは、職場で責任ある仕事をしながらプレーしている選手が多い。職場の同僚たちが声援を送るために試合に足を運んでくれる、という古き良き社会人リーグの雰囲気を色濃く残している。
リーグワンがプロリーグの色合いが濃くなっていく中、こうしたアットホームな雰囲気もまたトップイーストの魅力ではないかと、取材を通じて感じた。
リーグ戦は9月11日より開幕し、各チーム2回総当たりで全20試合。11月20日(日)、12月3日(土)には秩父宮でも開催される。(後編ではAグループ5チームを紹介予定)