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【車いすラグビー日本選手権予選・北海道大会】日本一をかけた車いすラガーマンたちの熱き戦いがスタート。

2022.08.30

RIZE CHIBA 日向顕寛(左)とFreedom池透暢(右)。(撮影/張 理恵)

パスに加えランにも磨きがかかった白川楓也(左)。(撮影/張 理恵)
ママさんアスリートでもある月村珠実。(撮影/張 理恵)
公式戦デビューを飾ったルーキーの鈴木康平(左)。(撮影/張 理恵)
女性プレーヤーの活躍も光った(中央)月村珠実(右)上原優奈。(撮影/張 理恵)
成長したプレーを見せた森澤知央(左)。(撮影/張 理恵)
日本代表同士の対決も見られる(右)今井友明。(撮影/張 理恵)
白川楓也(左)とSILVER BACKS加藤義隆キャプテン(右)。(撮影/張 理恵)



 北の大地に、ラグ車がぶつかりあう音が轟いた。

 8月27日と28日の2日間、「第24回車いすラグビー日本選手権予選 北海道大会」が北海道岩見沢市の北村トレーニングセンターで開催された。

 予選は来年1月に行われるクラブチーム日本一決定戦「日本選手権大会」の出場権をかけておこなわれるもので、日本車いすラグビー連盟に登録している9チームが3チームずつに分かれて総当たり方式で戦い、上位2チームが本大会の出場権を獲得する。

 昨年度は予選が実施された後、新型コロナ感染拡大の影響により日本選手権が開催中止となり、各クラブチームにとっては大きな目標を失うこととなった。
 それだけに、どのチームも今年の大会にかける思いは強い。

 約1年ぶりの公式戦となった今回の北海道大会には、Freedom(高知)、RIZE CHIBA(千葉)、SILVER BACKS(北海道)の3チームが臨み、全6試合の結果、FreedomとRIZE CHIBAが本大会への切符を獲得した。

 4戦全勝で圧倒的な強さを見せたのが、日本代表キャプテンの池透暢が選手兼ヘッドコーチを務めるFreedomだ。
 日本選手権では2大会連続で準優勝に終わっており、今年こそ悲願の優勝を果たそうと、メンバー全員で取り組んできた。

 池のもとで自分を高めたいと、昨シーズン新たに日本代表強化指定選手でもある白川楓也が加入したことで、強力ラインナップが生まれた。
 なかでも、池のロングパスから白川のランでトライを奪う連係プレーは異次元のパフォーマンス。今大会のハイライトシーンのひとつだ。

 その池と白川を練習パートナーに持つのが、車いすラグビーを始めて1年の森澤知央だ。
 先天性の障がいにより、子どもの頃から車いすで生活している。森澤は、「これができない、あれができないと言われる事が多かったが、車いすラグビーは逆に手足に障がいがないとできない競技。そこに魅かれた」と話す。
 東京パラリンピックをテレビで見て、男女混合競技だということに衝撃を受けた。自分もやってみたいとスポーツの世界に飛び込んだ。

 日本代表初の女性選手として、東京パラリンピックに出場した倉橋香衣が憧れの人だ。倉橋に少しでも近づきたいと、人一倍熱心に練習に取り組む。
 その姿は、チームのモチベーションアップにもつながっている。キャプテンの渡邉翔太も「チームに新しい風を吹かせてくれる選手」と期待を寄せる。

 優勝候補の一角、Freedomが本大会でどのようなラグビーを見せるのか。
 池と白川のプレーを縁の下で支える、障がいの重いローポインターの献身的なディフェンスにも注目だ。

 2勝2敗の2位で日本選手権の出場権を獲得したのは、千葉をホームタウンとするRIZE CHIBAだ。
 2名の女性選手が所属しているのが特徴だ。代表レベルではいくつかの海外チームで、コート上4選手中2名が女性選手というラインナップを起用し始めている。その潮流に乗るかのように今回の予選では、上原優奈と月村珠実が同時に入るラインがローテーションに組み込まれた。
 上原が相手選手を止め、月村がトライするピックアンドロールが機能し、出場権獲得に貢献した。

 リオと東京の2大会連続でパラリンピックに出場し、銅メダルを獲得した今井友明が4年ぶりにチームに再加入したこともチームを勢いづけている。
 今井はこれまで積み上げてきた豊富な知識と経験を活かし、オンコート・オフコートを問わず指示とアドバイスを送り続けた。

 今井の存在はかつてのチームメートだけではなく、2名の新人選手にも大きな影響を及ぼしている。
 鈴木康平はサーフィン中の事故により車いす生活となり、今年3月に車いすラグビーを始めた。
「目標の選手は今井選手。ローポインターなのに(障がいの軽い)ハイポインターに負けないくらいの速さがあり、先を読むプレーにも優れていて今井選手が走っていくところに必ず相手チームの選手が来る。今井選手からいっぱい盗みます!」とヤル気に満ちた表情で語る。ベンチでは一言も聞き逃すまいと、今井の言葉に熱心に耳を傾けた。
 無限の可能性を秘めた個性派ぞろいのRIZE CHIBA。本大会でどんな色を見せてくれるのか注目だ。

 今大会で勝利を挙げることはできなかったものの、SILVER BACKSはプレーオフに望みをつなげた。
「スタメンで出られないベンチスタートの選手たちの試合経験や、出場機会を増やしたい」との思いから、北海道を拠点に2015年に結成された。今年度チームの平均年齢は51歳。今大会出場の8名のメンバーのうち6名がオーバーエイジ選手(45歳以上)で、二日間で4試合を全力で戦い抜いた。

 この試合では何点取ろうと目標を定め、「ドンマイ!」とお互いを励まし合う。ラグビーを楽しむことに関してはどのチームにも負けない。
 果たして日本選手権の切符を手にすることはできるのか、12月におこなわれるプレーオフでいぶし銀のプレーが光る。

 日本選手権予選は9月3日、4日に東京大会(東京・渋谷区スポーツセンター)、10月29日、30日に福岡大会(福岡・田川市総合体育館)がおこなわれ、いずれも有観客での開催を予定している(入場無料)。
 クラブチームならではの個性豊かなプレー。世界を舞台に活躍する日本代表候補選手たちのプレー。車いすラグビープレーヤーとして第一歩を踏み出したルーキーたちのプレー。楽しみな光景が各会場で繰り広げられる。


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