ラグビーリパブリック

「激しく前へ」。LO佐藤優奈が復帰。WTB名倉ひなのは「トライを取り切る」。サクラフィフティーン、勝利をつかめ

2022.08.27

100パーセントの状態で復帰戦に臨むLO佐藤優奈(写真中央)。170センチ、75キロ。(撮影/松本かおり)

「トライを取り切る」と力強く話すWTB名倉ひなの。(撮影/松本かおり)



 LOとしての役目は理解している。
「考えすぎたらうまくいかない。アタックもディフェンスも激しく前へ出ます」
 8月27日に秩父宮ラグビー場でおこなわれるアイルランド代表との第2戦に、佐藤優奈が4番のジャージーを着て出場する。

 合宿中に痛めた肩の影響もあり、5月1日のフィジー代表戦以来の実戦復帰となる。
 回復具合を「100パーセント」と話す23歳は、迷わず前へ出て、チームに勢いを与えるプレーを見せる。

 仲間たちが躍動する中、自身は復帰を目指して調整を重ねた。「大事な時期にケガをしてしまい、正直、焦りはありました」と復帰までの過程を振り返る。
 そんなとき、チームスタッフが乱れる心を落ち着かせてくれた。

「焦る時じゃない、と。ワールドカップへ向け、大切な時に出られるようにしようと言っていただきました」
「できることを一つひとつ増やして」今回の復帰に漕ぎつけた。

 自分の強みを運動量と認識する。
「アタックもデイフェンスも、どんなときでも全力で前へ出続ける。流れを変えるプレーをする」と話す。
 ただ、がむしゃらに動くつもりはない。

 22-57と完敗したアイルランドとの第1テストを外から見て気づいたことを、第2テストでは改善する。
「ディフェンス面でオフサイドしないことが大事。しっかり下がって、そこから前へ出る。セットプレーは受けに回らず、自分たちからプレーし、相手がやりにくいようにします」と話す。

 明大でLOとして活躍する佐藤大地は弟。2年生ながらAチームの試合に出場する頼もしい存在に、プレーについての質問をすることもあるという。
「いい刺激を与え合って頑張ります」
 復帰戦から暴れ、チームの勝利に貢献する姿を届けたい。

 復帰戦に並々ならぬ思いで臨むのは佐藤だけではない。
 WTBの名倉ひなのは、アイルランドとの第1テストのメンバーからは外れたため、2試合ぶりの復帰。「(初戦は)勝てませんでしたが、戦う仲間たちの姿を誇らしく思いました」と話しながらも、「初戦に出られず悔しかった」とリベンジを誓う。

 南アフリカ代表との試合には、11番、14番と、2試合とも先発した。
 しかし、WTBに求められるトライは決められなかった。特に熊谷での第2テストでは何度かアウトサイドでボールをもらいながら、インゴールにボールを置けなかった。

 悔しいシーンを思い出し、「あのときは外に出てしまったので、もう絶対に出ない」と話す。
 チームとしても、有効なポジションにいる選手を増やす修正も進めている。首脳陣から「大型ウイングとして期待されている」と自覚する25歳は、「トライを取り切る」と言葉に力を込めた。

 チームは南アフリカとの第2テスト、アイルランドとの第1テストと連敗中。
 レスリー・マッケンジーヘッドコーチからは、「オーストラリアに勝ち(歴史的な勝利を得たことで)、知らず知らずのうちにプレッシャーを感じていたのではないか」と指摘があった。
 自身のトライで、重苦しいムードを払拭できたら最高だ。170センチ、75キロの体躯で、突き進む。


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