惜しくもワンバウンドとなったけれど、ボールはホームベース上を通過した。
球速もあった。
7月31日、仙台・楽天生命パークでおこなわれた東北楽天イーグルス×北海道日本ハムファイターズを2人のオリンピアンが訪れた。
昨年開催された東京オリンピックで、ラグビー(女子/セブンズ)に参加した清水麻有と堤ほの花だ。
清水は試合前にファンの前で挨拶。堤は始球式に臨んだ。
ラグビー女子日本代表のオフィシャルスポンサーである青南商事は、毎年、東北楽天イーグルスのホームゲームで「SEINANデー」(今年はSEINANナイター)を実施している。
同社は女子ラグビー選手を毎年このイベントに招いている。
2016年に始めたSEINANデーの始球式には、多くの選手たちが参加してきた。
初年度は今回メッセージを発信した清水が投げた。翌年から昨年まで、齊藤聖奈、堤、藤本麻依子、佐藤優奈、マテイトンガ・ボギドゥラウマイナダヴェがマウンドへ。
女子ラグビーの存在を楽天ファンに印象付けている。
昨日の清水はプレーボール前、今年は女子ラグビーにとって大事な1年ということをファンに伝えた。
ワールドカップセブンズ(9月)とワールドカップ(10月/15人制)が開催される。サポートを依頼した。
堤はサブグラウンドで清水とキャッチボールをして肩慣らしをした後、本番に向かった。
力の入れ具合やボールの握り、リリースポイントを練習時にチェック。準備は万端だった。
しかし、マウンドに立ってみると緊張感がいっきに高まった。
この日の観衆は2万105。「ラグビーではいつもリラックスしているのに、きょうは緊張しました」と振り返る。
「やばい」
マウンド上の姿を映す映像には、そうつぶやく堤の表情がある。
低めに投げたボールは、ホームベース上を通ってワンバウンドで捕手のミットへ。
「なかなか経験できないこと。いい想い出になります。これからも、いろんな選手が経験できたらいいですね」と笑顔だった。
スタンドに座り、楽天イーグルスの逆転勝ちを見た堤は「楽しかった」と、熱戦を振り返った。
清水とともに、FMラジオ(Rakuten.FM TOHOKU)出演、スタジアム正面のステージでのトークショーに出演と、忙しかった7月最終日。女子ラグビーの認知度を高めた一日だった。