フランス代表との第1テストマッチはテレビで見た。
6月25日におこなわれたウルグアイ代表戦(第2テスト)後、新型コロナウイルスへの感染状況を調べる抗原検査を受けた。陽性と出たため、ホテルでの隔離生活を送っていたからだ。
その齋藤直人がフランス代表との第2テストマッチ(7月9日)に先発する。
「(隔離中も)S&Cコーチと連絡をとって、部屋の中でできる限りのトレーニングをしていました」
感染時期から逆算し、このシリーズ最終戦への復帰に照準を合わせて調整を進めてきた。
外からテストマッチを見つめた状況を、「病気で(ラグビーを)テレビで見ることはなかったので、もどかしかった」という。
その時に得た情報と感覚を、次戦に生かす。
「攻めるのか、キックを使って相手にプレッシャーをかけるのか、が大事。そこの判断は9番、10番の役割なので、しっかり遂行したい」
昨年6月のブリティッシュ&アイリッシュ・ライオンズ戦以来、積み重ねたキャップは7。これまでの試合で組んできた10番は、自分より経験豊富な選手ばかりだった。
しかし今回の試合の先発SOは李承信。21歳、3キャップ目と若い。
「自分の方が、経験があるとは思っていません。しかし、自分がリードしないといけない自覚はあります」
準備期間の中で、李とは一緒に映像を見て時間を過ごした。
「こういうときは、こういうプレーを選択しよう。そんなコミュニケーションもとってきたので、自信を持って試合に臨めます」
先週の李のプレーを、「初先発なのに堂々としていて、チームをドライブしていたように思いました」と高く評価する。
「(プレース)キックもどんどん決めて頼もしい」
若いハーフ団で勝利をつかめれば、選手層は厚みを増す。
あらためて、自身の強みを「フィットネスとスピード」と話した。
その持ち味にゲームコントロールを加えてチームを勝利に導く。
「敵陣では、チームに勢いをもたらすラン、パス、仕掛けをしたい」
日本代表の9番を背負い続ける意欲にあふれる。
「SHはポジション柄、チームの中心でないといけない。毎練習、毎セッション、チームで一番エナジーを出していきます」
前売りチケットの売れ行きは好調。5万5000人近いファンが国立競技場を訪れる見込みだ。
齋藤にとって同競技場は、早大の主将時代、大学選手権優勝に輝いた思い出の場所。サクラのジャージーでも多くの人の胸に刻まれる大仕事を、大観衆の前でやり遂げたい。