ラグビーリパブリック

もっともエナジーのある存在に。的確な判断をSO李承信と。齋藤直人[日本代表/SH]

2022.07.08

試合前日の齋藤直人。大観衆の前で、チームを勝利に導く。(撮影/松本かおり)



 フランス代表との第1テストマッチはテレビで見た。
 6月25日におこなわれたウルグアイ代表戦(第2テスト)後、新型コロナウイルスへの感染状況を調べる抗原検査を受けた。陽性と出たため、ホテルでの隔離生活を送っていたからだ。

 その齋藤直人がフランス代表との第2テストマッチ(7月9日)に先発する。
「(隔離中も)S&Cコーチと連絡をとって、部屋の中でできる限りのトレーニングをしていました」
 感染時期から逆算し、このシリーズ最終戦への復帰に照準を合わせて調整を進めてきた。

 外からテストマッチを見つめた状況を、「病気で(ラグビーを)テレビで見ることはなかったので、もどかしかった」という。

 その時に得た情報と感覚を、次戦に生かす。
「攻めるのか、キックを使って相手にプレッシャーをかけるのか、が大事。そこの判断は9番、10番の役割なので、しっかり遂行したい」

 昨年6月のブリティッシュ&アイリッシュ・ライオンズ戦以来、積み重ねたキャップは7。これまでの試合で組んできた10番は、自分より経験豊富な選手ばかりだった。
 しかし今回の試合の先発SOは李承信。21歳、3キャップ目と若い。

「自分の方が、経験があるとは思っていません。しかし、自分がリードしないといけない自覚はあります」

 準備期間の中で、李とは一緒に映像を見て時間を過ごした。
「こういうときは、こういうプレーを選択しよう。そんなコミュニケーションもとってきたので、自信を持って試合に臨めます」

 先週の李のプレーを、「初先発なのに堂々としていて、チームをドライブしていたように思いました」と高く評価する。
「(プレース)キックもどんどん決めて頼もしい」
 若いハーフ団で勝利をつかめれば、選手層は厚みを増す。

 あらためて、自身の強みを「フィットネスとスピード」と話した。
 その持ち味にゲームコントロールを加えてチームを勝利に導く。
「敵陣では、チームに勢いをもたらすラン、パス、仕掛けをしたい」

 日本代表の9番を背負い続ける意欲にあふれる。
「SHはポジション柄、チームの中心でないといけない。毎練習、毎セッション、チームで一番エナジーを出していきます」

 前売りチケットの売れ行きは好調。5万5000人近いファンが国立競技場を訪れる見込みだ。
 齋藤にとって同競技場は、早大の主将時代、大学選手権優勝に輝いた思い出の場所。サクラのジャージーでも多くの人の胸に刻まれる大仕事を、大観衆の前でやり遂げたい。

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