ラグビーリパブリック

土田雅人氏、日本ラグビー協会会長に就任。サントリーホールディングス常務と「両立」で

2022.06.26

サントリーでも昇進を重ねるビジネスパースン(撮影:BBM)

 6月26日、日本ラグビー協会(東京都港区)で同協会の理事会が行なわれ、理事の土田雅人氏が2022、23年度の会長として推薦を受け、全会一致で承認された。理事会後の記者会見で発表された。土田氏はサントリーホールディングス­(株)常務執行役員 兼 サントリー酒類(株)専務執行役員で、日本ラグビー協会理事(2015年就任)。

 会見には、専務理事に再任された岩渕健輔氏とともに登壇し、岩渕氏が、土田会長就任の経緯を説明した。

 岩渕氏の説明によると、日本協会は現在、推進中の「中期戦略計画」の遂行のため、会長には求められる資質が二つある。一つはビジネスにおける実績と高い知見。もう一つが、ラグビーそのものに対する深い知見とのこと。後者において土田氏は選手として指導者として叶えられるものをすべて達成しており、これ以上の適任者はいないと判断されたとした。

 土田氏は会長として、日本協会が掲げる「世界一のラグビー協会へ」との目標に強い共感を示しながら、次のように述べた。

「正式決定前にもかかわらず、今朝、新聞に私の名前が載ってしまうことを含めて、ガバナンスコード上も、何かがおかしいと感じる。これは一例であって、協会の中には、そうであってはならないことが数多くある」

 日本協会への現状への疑問、危機感をあらわにした。

理事会後の会見は秩父宮ラグビー場で行われた。左は岩渕健輔専務理事(撮影:BBM)

「岩渕さんが先ほど理事会後に、協会のメンバーにおっしゃっていたことがすべて。この協会で働くことができてよかった、と、所属する人が誇りに思えるようなラグビー協会になっていきたい」

 要職にあるサントリーの職務とのバランスにおいては、「就任の条件として、働きながら、務めさせてほしいとお願いした」と言及。サントリーで務めていた「シニアディレクター」は「名簿から消していただいた」とし勇退の方向だ。

◎土田雅人氏プロフィール……

つちだ・まさと/サントリーホールディングス­(株)常務執行役員 兼 サントリー酒類(株)専務執行役員。1962年10月21日生まれ、秋田県出身。秋田市立土崎中、秋田県立秋田工業高校、同志社大学商学部出身。ラグビーでは秋田工、同志社大、サントリーでプレー。高校日本代表、日本代表キャップ1。引退した1995年にサントリーラグビー部監督、就任1年目に日本選手権優勝。1997年には日本代表FWコーチ就任(-1999年)。2000年から4年間、再びサントリーを率いて日本選手権優勝2度。2015年にラグビー界に復帰し日本協会理事に。ビジネスでは、2011年(48歳)にサントリー酒類(株)執行役員(スピリッツ事業部長)、サントリーフーズ(株)代表取締役社長(2013 年-)サントリービバレッジソリューション(株)代表取締役社長(2016年-)などを経て、2019年にサントリーホールディングス(株)執行役員に。2022 年より現職。

 同志社大では平尾誠二らとともに大学選手権3連覇(当時史上最多の連続優勝記録)をリード。サントリーでも主力選手として活躍し、引退後すぐに監督に就任、1年目で結果を出した。ビジネスでも頭角を表す氏は、盟友・平尾誠二氏とともに日本代表強化にも取り組んだ。2003年にサントリーの監督を退いて以降は、サントリーの強化のバックアップにあたり、エディー・ジョーンズ氏の招聘などで次代のサントリー強化の土台も作った。現役時代のポジションはFL、NO8。