来年のラグビーワールドカップへ向けて強化を進める日本代表が6月25日、福岡・ミクニワールドスタジアム北九州でウルグアイ代表とテストマッチをおこない、43-7と圧倒した。
14番をつけてデビューとなったゲラード・ファンデンヒーファーはトライを挙げるなど活躍、そして後半から出場のLOサナイラ・ワクァとSO李承信も日本代表として初キャップを獲得した。
6月3日から宮崎で合宿をおこなってきたスコッドにとっては、今年初めてのテストマッチ。
日本は前半4分、敵陣深くへ入ってラインアウトからモールで前進し、キャプテンのHO坂手淳史がインゴールに突っ込み先制した。
8分には、FLリーチ マイケルがブレイクダウンで奮闘して相手の反則を引き出し、5年ぶりのテストマッチ出場となった10番の山沢拓也がハーフウェイからペナルティゴール(PG)を狙って成功。16分と23分にもショットで加点し、リードを広げた。
新しい選手や久しぶりにテストマッチでプレーする選手も多いなか、昨年デビューのSH齋藤直人は常に大きな声を出してチームを鼓舞。CTBディラン・ライリーは強烈なタックルを連発した。
その後、日本は自陣で反則を繰り返す時間帯もあったが、ピンチを脱出すると、38分には相手の落球から攻めに転じ、ファンデンヒーファーが足にかけたボールをライリーがインゴールに押さえ、19-0で折り返した。
日本はこの試合、ハンドリングエラーなどミスが多く、南米のチャレンジャーに対して手こずるシーンもあったが、50分(後半10分)にはラインアウトからモールで押し込み得点する。55分にも敵陣深くに入ってモールからボールを動かし、この日デビューのファンデンヒーファーがトライを決めた。
日本はさらに61分、LOジャック・コーネルセンのブレイクから敵陣深くに入ってテンポよく攻め込み、チャンスを広げてSO山沢が右外へ長いパスを通そうとしたところ、ウルグアイの選手がそれをカットしようとして反則を取られ、レフリーはペナルティトライを宣告した。
リードを広げた日本は、63分にはラインアウトからのムーブでNO8ファウルア・マキシがハーフウェイから抜けて大きくゲインし、CTB梶村祐介につないで6トライ目。
終盤、イエローカードをもらって数的不利の時間帯にウルグアイに1トライを許したものの、大差での勝利となった。
勝った日本代表のジェイミー・ジョセフ ヘッドコーチは、「自分たちの最初の試合としてはいいスタートだったと思う。新しい選手も入ってきて、新しいリーダーズグループのなかで、宮崎でたくさん練習してきたことをできた部分もある。魂のこもったウルグアイ相手にタフな試合となり、学びもたくさんあった。新しい選手たちはいいパフォーマンスをしてくれた。もっともっといい経験を積んでいってもらいたい」とコメント。しかし、69分(後半29分)にPR稲垣啓太がハイタックルでシンビンになり、失点するなど、終盤の戦いについては修正課題とした。「最後の20分~15分については、ボールが手につかず、イエローカードを出してしまったりしたが、ティア1(強豪)のチーム相手にはそういうことをしてしまうとなかなか勝てないので、今後にしっかり活かしたい」
坂手キャプテンは反則とミスが多かったことを反省しながらも、ジョン・ミッチェル新アシスタントコーチのもとで取り組んでいるディフェンスに手ごたえを感じていた。「いいセットができているし、前に出てプレシャーをかけていた。もちろん、まだまだ修正するところはある」
一方、敗れたウルグアイ代表のエステバン・メネセス ヘッドコーチは、「選手たちは空っぽになるまで全力を尽くしてくれたが、ひとつのミスが失点につながることを改めて感じさせられた試合だった。しかし、学ぶことも多かった。ワールドカップへ向けてはフィジカルを改善しなければならないし、日本のようなスピードに慣れていかなければならない。これからも努力を続けて進化していきたい」と語った。
日本代表は次週から、欧州王者(世界ランキング2位)であるフランス代表との2連戦に挑む(7月2日:愛知・豊田スタジアム、9日:東京・国立競技場)。