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イングランド戦で、バーバリアンズの指揮を執るガルティエHC。頭の中にはフランス代表の青写真も

2022.06.12

フランス代表を率いるファビアン・ガルティエHC。(Getty Images)



 6月19日、イングランドはバーバリアンズと対戦する。
 今回のバーバリアンズの指揮を執るのはフランス代表のファビアン・ガルティエHCだ。

 バーバリアンズから依頼を受けた時にガルティエHCが出した要望の一つが、フランス代表チームのスタッフでコーチングスタッフを構成することだった。
 要望は叶えられ、アシスタントコーチ、パフォーマンスディレクター、アナリスト等のフランス代表チームのスタッフがバーバリアンズでもガルティエHCを支える。

 現体制の代表スタッフは、これまでもテストマッチシーズンの前にプロチームのエスポワール(アカデミー)チームや、2部、3部リーグに出向いて、「(代表チームの)コーチが自らのコーチングを高めるトレーニング」をしている。
 ガルチエHCは「バーバリアンズ(での活動)は、日本遠征前に我々がコーチングのトレーニングをする機会になる」と、現地ラグビー紙『ミディ・オランピック』の取材に対して述べている。

 もう一つのガルティエHCの要望は、「8人のワールドクラスのスター選手に加えて、約20人のフランス人選手をメンバーに入れること」だった。

 6月9日に最初のメンバーが発表された。フランス代表のWTBダミアン・プノー、そしてFLシャルル・オリボンだ。以前、ガルティエHCは「シックスネーションズに参加した主力選手は休ませることを考えている」と言っていた。
 しかし、「ダミアン(プノー)はシーズン終盤に負傷のため1か月以上離脱していた。所属クラブのクレルモンがプレーオフ進出ならずシーズンが終わってしまい、『まだラグビーし足りない!』と言っている」と説明した。

 現代表チーム立ち上げ時にキャプテンに任命されたオリボンは、昨季のトゥーロンでの最終戦で膝靱帯を負傷し、昨秋のオータム・ネーションズシリーズ、また今年のシックスネーションズにも参加できなかった。
 3月に戦列復帰して以来、この夏の代表への復帰も期待されていた。バーバリアンズでキャプテンを務める。

「だからと言って、オリボンが日本遠征でもキャプテンになるとは限らない。キャプテンは1人だけを見て決められることではない。シックスネーションズの期間中、アントワンヌ・デュポンは5人のリーダーと協力してきた。42名の来日メンバーが全員揃ってからあらためて任命することになる」とガルティエHCは言う。

 この2人の他にも、所属クラブのトップ14のプレーオフ進出が叶わなかったPRジャン=バティスト・グロ(トゥーロン)、FLディラン・クルタン(リヨン)の名前が挙げられているが、フランスではトップ14のプレーオフ中。6月11、12日の準々決勝の結果を見なければ、バーバリアンズに参加するメンバーが確定できない。

 6月12日の夜からスタッフはバーバリアンズの合宿地であるモナコに入り、メンバー決定し、選手に電話で連絡、翌日から集合して合宿をスタートする予定だ。

 モナコから20キロほどのニースでは、フランスU20代表が合宿をおこなっている。6月24日から。イタリアで行われる「U20サマー・シリーズ(シックスネーションズの6か国と南アフリカ、ジョージアが参加)」の準備だ。
 合宿2日目にはそのU20とゲーム形式の練習をおこない、翌日にロンドンへ移動。さらに、その翌日(木)にフランス人以外の選手も合流してイングランドのクラブチームと再びゲーム形式の練習を実施し、6月19日(日)の試合に臨む。
 この試合の結果と、前日までに終了しているトップ14の準決勝の結果で来日メンバーを決めることになる。

 しかしバーバリアンズを単なる日本戦への準備の場と考えているわけではない。
「バーバリアンズというクラブに敬意を払わなければならない。守るべき行動規範もあるからフランス人選手に説明しなければならない。またバーバリアンズと言えば、華やかで大胆なアタッキングラグビーだ。素晴らしい世界だ。このカルチャーを選手たちに感じてもらえるように、1973年のオールブラックス戦でのガレス・エドワーズのトライの映像などを使ってビデオを準備している。このマインドセットは溢れる才能を表現することができる土壌の上に成り立っており、この経験を通してフランス代表のプレーに磨きが掛けられることを期待している」と語った。

 トップ14のプレーオフ、そしてイングランド対バーバリアンズ、見逃せない試合が目白押しだ。


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