ラグビーリパブリック

日本代表に近い辻雄康。トンガ選手との一戦へ「自分に勝って、相手にも勝ちたい」。

2022.06.10

TONGA SAMURAI XV戦へ向け、ラインアウトの練習をするEMERGING BLOSSOMSの辻雄康 ©JRFU


 シャイな青年だ、と周りから言われる。

 6月3日から参加するナショナル・デベロップメント・スコッド(NDS)の別府合宿では、積極的な会話を意識していたのだが…。

 当の本人は笑みを浮かべる。

「シャイだと思われているということは、それ(周りへの声かけ)が足りていないということなのかもしれないです。自分としては、この短い合宿のなかでいいパフォーマンスができるよう、周りとコミュニケーションを取っていきたいなと思っています」

 辻雄康は、東京サントリーサンゴリアスに加入4年目の26歳。身長190センチ、体重113キロの体躯で、フィジカリティに定評がある。

 準優勝した今年の国内リーグワンでは、実戦15試合中13試合に出た。うち先発は7。空中戦、地上戦で身体を張るLOの定位置を、ハリー・ホッキングス、ツイ ヘンドリックといった海外出身者らと争ってきた結果だ。

 果たして5月9日発表の日本代表候補に初めて名を連ね、今回は代表予備軍にあたるNDSに配属される。

 6月11日、東京・秩父宮ラグビー場。日本にいるトンガ出身者たちとのチャリティーマッチへ、NDSにあたる「EMERGING BLOSSOMS」の5番で出場する。アイランダーとのぶつかり合いに、覚悟を示す。

「海外選手を倒せるというのは、自分にとってもチャンスです。逆に言ったら、相手が強いのは自分にとってもリスクの大きいところ。まずは、自分自身との戦いです。自分に勝って、相手にも勝ちたいです」

 慶大1年時の2015年、ワールドカップ・イングランド大会を戦う日本代表に感銘を受けた。過去優勝2回の南アフリカ代表を倒す姿を見て、「自分もその一員になりたい」。ナショナルチームへの憧れを強めた。

 サンゴリアスの1年目は、肩の故障に泣いた。どちらの肩かは「狙われたら嫌なので、言いません」。復帰してから昨今のブレイクに至るまでは、おもにふたつの点を強化した。

 ひとつは基本スキルだ。倒れながらボールを地面に置く際の手の伸ばし方、味方が作った接点への援護の仕方…。サンゴリアスの攻撃的なスタイルを成り立たせるべく、ディテールにこだわる。

 もうひとつは「身体の準備」だ。高いレベルの舞台でもフィジカリティを持ち味としたいとあり、日ごろのジムワーク、サーキットトレーニングに心を砕く。

 チームで求められることと、チームにアピールしたいこと。そのふたつのうち、後者にあたる「身体の準備」には特に注力したようだ。

「まず身体の使い方を意識して取り組んできました。腹筋、肩甲骨、大殿筋…自分のパワーが最も発揮できるところを伸ばして、パワーを出すために必要なトレーニングを自分で考えながらやってきました。チームセッション以外でも、取り組んできました」

 2019年のワールドカップ日本大会では、日本代表のLOはすべて外国出身選手だった。今回の日本代表のLO勢も然りで、和製LOの誕生については理想と現実のギャップが見え隠れする。辻はこうだ。

「LOに外国人選手が多いなか、選ばれるのは難しいのではと感じていました。ただ、自分のできることは、自分の実力を積み重ねていくこと。今回、その結果として招集されたことに、まず感謝しています」

 今度のゲームでLOのコンビを組むのは、ヴィンピー・ファンデルヴァルト。2019ワールドカップ日本代表メンバーでもあるファイターは、眼光の鋭い東洋の青年を「素晴らしいフィジカルがある。長い間、ジャパンでやっていく選手だと思っています」と見る。力は証明されつつある。

 NDSは、日本代表としておこなう18日のウルグアイ代表戦(秩父宮)を最後に解散。一部の選手のみが、フランス代表などと戦う日本代表へ合流できる。

 辻は「自分に与えられた一個、一個の目の前のあることに100パーセントで取り組んで、毎回チャレンジしたいと思っています」。その延長で、本隊への追加招集を叶えたい。

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