ラグビーリパブリック

ラグビーコーチの情熱が集結。ジャパン強化にも繋がる「ユース・リソース研修会」が実地&オンラインで開催される。

2022.06.05

研修はオンラインとオフラインで実施された。(写真提供/公益財団法人日本ラグビーフットボール協会)

学ぶことの多かった3日間。(写真提供/公益財団法人日本ラグビーフットボール協会)
今田圭太氏。(写真提供/公益財団法人日本ラグビーフットボール協会)
選手参加のコーチング実践。(写真提供/公益財団法人日本ラグビーフットボール協会)




 ジャパン強化にも繋がる重要な取り組みだ。

 毎年開催されている日本ラグビー協会の「ユース・リソース研修会」が5月13日から3日間、オンラインと実地で開催された。

 参加コーチは、ユース世代の強化を担うユースコーチとリソースコーチ、そして全国9ブロックの代表監督だ。

 司会進行などを務めた日本ラグビー協会のユース戦略担当の今田圭太氏は、研修会の目的を「ユース世代の強化方針の共有、コーチが自分と向き合い成長する、全国のコーチを繋ぐ、コーチたちが学び続ける事ができる環境を作る」ことと語る。

 研修会は高密度の3日間になった。

 1日目にはレフリーのマネジメント責任者である原田隆司さんが、ラインアウトを中心とした「今年度のレフリング指針」を伝え、日野レッドドルフィンズの北川俊澄コーチが専門分野のラインアウト、タックルのスキルを共有した。

 2日目には全国からコーチが大阪・関大北陽高校のグラウンドに集結。コーチング実技が行われた。オンライン参加も認められ、夜には日本ラグビーのスピード&ムーブメント強化を担う里大輔さんが講義をおこなった。

 3日目は今田ユース戦略担当の「プラニングスキル」講義があり、全国9ブロックのコーチはその後実際にブロックプランを作成した。

 コロナ禍の影響が色濃かった2020年は、研修会を初めてオンライン開催を行った。今田ユース戦略担当はコロナ下における活動継続の決断を、こう振り返る。

「コロナ禍において、活動を止めるのは簡単でしたが、活動を止めてしまうとそれまで10年かけて築き上げてきたものが一瞬で崩れ去ると感じていました。日本ラグビーの強化・普及、その両方の面から見ても、この世代が果たす役割が大きいことは明らかです」

「そうなった時に、活動を止めていいのかと自分に問いかけました。自分が使命と責任を持って、どんな形でも活動を続けることが10年、20年先の日本ラグビーにとって大切なことだと思いました」

 研修会を中止することは簡単だった。しかし使命感と責任感で、コロナ下においても学びの場の継続に努めてきた。

「できないことを考えるのではなく、できることを考え、実行する。T I Dマネージャーの野澤武史さんが日々そういう姿勢で頑張っている姿を見て、ユースのコーチ育成の責任者である私が何もやらないのは違うと思いました。『日本ラグビー界の中で、このユースカテゴリーが一番試行錯誤して先進的な取り組みをしよう』というモチベーションで取り組みました」

 ユース強化はジャパン強化にも繋がる重要項目だ。ユース活動の停滞は、ジャパン強化の停滞にそのまま直結する。

 成熟した大人の学びは、精神的苦痛をともなう。しかし研修会では「大人の学びは痛みを伴う」というジャック・メジロー(米社会学者)の言葉をたえず掲げ、連帯しながら学び続ける“ラーニング・コミュニティ”を形成している。

 大人になっても、まだ成長できる——。そんな覚悟の大人たちの背中を見て、ユース世代の選手たちがまだ刺激を受ける。素晴らしい好循環を生み出そうとしているユースコーチの活動に、ぜひ注目してほしい。


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