「東芝にやられて、バッチリ目が覚めたから」(東京サントリーサンゴリアス 中村亮土選手)
「体を当てて、激しさで崩していく」(東芝ブレイブルーパス東京 小川高廣)
「強みはディフェンス。ボールを奪ってトライを取り切るラグビーは変わらない」(埼玉パナソニックワイルドナイツ 坂手淳史)
「初代王者になることを目標にやってきた。準決勝に勝たないとそれは叶わない」(クボタスピアーズ船橋・東京ベイ 立川理道)
4人のキャプテンの言葉には、穏やかな中にも強い意志や闘志が伺えた。
5月16日、東京・丸ビルにてリーグワン プレーオフトーナメント メディアカンファレンスが行なわれ、4日後に迫った準決勝を控えたトップ4のキャプテンが一堂に会した。
4主将のトークでは、今年新たにスタートしたリーグワンの初代王者に向かう各チームの積み重ねがうかがえた。サンゴリアス、ワイルドナイツ、スピアーズにブレイブルーパス。それぞれに歴史があり、まとった個性があった。
リーグ戦3位のスピアーズは昨年来、チームとファンのコミュニケーションが最も密なクラブの一つだ。リーグワンとして各チームが興行権を持って試合を盛り上げる中で、スピアーズはファンも含め、チームとそれを支える人々を丸ごとオレンジーアーミーと呼ぶようになった。立川主将は江戸川のまだ小さなスタジアムで満身にその熱を感じている。「江戸川陸上にもたくさんの人が集まって、オレンジにスタンドを染めてくれている」
秩父宮でスピアーズと戦うのは、昨年トップリーグ王者のワイルドナイツ。今季リーグ戦を2位でゴールしたワイルドナイツは、序盤2試合を感染症の影響で失い、2敗扱いからのスタートだった。遅れを巻き返し破竹の勢いでリーグ戦を抜けてきた。リードされても、最後は必ずひっくり返すしぶとさ、勝負強さは真似のできない強み。「神戸戦(4節・41-37)、ブルーレヴズ戦(11節・26-25)は特に自信になった」(坂手主将)
リーグ戦1位のサンゴリアスは、今季3試合が中止になった。しかし、チームはこの偶発的な「間」を、うまくチームの熟成に役立ててきたようだ。「コンディションを整えながら、自分達を見つめ直して、らしさを磨いてきた。結果、瞬間瞬間の判断で同じ絵を見られるようになっている。これからの戦いに生きてくる部分だと思います」(中村主将)
リーグ終盤のデッドヒートの中で4位に食い込んだのがブレイブルーパスだ。「シーズン当初は波があったけれど、やりたいラグビーが後半に向けてできるようになってきた」(小川共同主将)。「クボタさんにぼこぼこにやられた後(10節・28-43)、スイッチが入って神戸に勝てた経験(11節・46-35)は大きかった」。リーグの経験、一つひとつの勝利がチームの成長・成熟を後押ししてきた。
1位・サンゴリアス vs 4位・ブレイブルーパス(5月21日@花園)
2位・ワイルドナイツ vs 3位・スピアーズ(5月22日@秩父宮)
二つの準決勝の共通点は、両カードともが「連戦」となることだ。
サンゴリアス vs ブレイブルーパスは5月1日に15節で戦ってサンゴリアスが3-27で敗れた。その後、ブレイブルーパスは最後の16節を戦ったが、敗れたサンゴリアスは最終節が流れた。まさかのノートライで抑え込まれた思いを胸にしたまま、3週間を経てのリベンジの機会となる。
ワイルドナイツとスピアーズは最終節で激突し35-14。ホームの熊谷を野武士たちが逆転勝利で飾った。2週をあけて、再びあい見える。
サンゴリアス中村亮土主将は「僕らにとってはありがたいタイミング。そういうモチベーションをもらって思い切りぶつかっていける」。小川共同主将「アグレッシブなディフェンス見せる」
スピアーズの立川主将は、相手にどこで勝るかとの質問に「全部勝ちます」と宣言。対する坂手主将も「すべてにおいて負けません」と返した。
土日の決戦が迫っている。