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ブレイブルーパスに入って「大正解!」。新人・小鍜治悠太が好きな雰囲気。

2022.05.07

5月1日のサンゴリアス戦でもブレイブルーパスの3番をつけてハードワークした小鍜治悠太(撮影:松本かおり)


 嬉々として言った。

「試合を重ねるごとに、チームが仕上がってきて…。シンプルに言ったら、毎回、楽しくなっていますね」

 小鍜治悠太が話をしたのは4月29日。所属する東芝ブレイブルーパス東京が、リーグワン・ディビジョン1の第15節に臨む2日前だった。相手は東京サントリーサンゴリアス。いずれも府中市を本拠地とするとあって、小鍛冶は「シンプルに、府中ダービーが楽しみ」と笑顔だった。

「先輩たちの、覇気が違いますね。普段もすごいんですけど、さらにすごくなります」

 当日・雨に見舞われる味の素スタジアムで、目下首位のサンゴリアスを27-3で下す。12チーム中4位の座を保つ。以後、他会場の試合中止が決まったことで、8日の第16節を待たずに4強によるプレーオフ進出を決める。

 主力の右PRとして活躍してきた身長176センチ、体重109キロの23歳は、「やっぱ、優勝したいです」と未来を見据えていた。

「これからまた課題は出てくると思うんですが、それを克服して、積み重ねて、成長しながら、優勝したいです」

 いまの道を決めるまでには、「いろんな要素があって」。大産大高を経て天理大に入り、2020年度に初の大学日本一を経験。強力スクラムのけん引役のひとりだった小鍛冶は、かねて複数のクラブからラブコールを受けていた。

 そのひとつのブレイブルーパスへは、責任企業の業績に関する報道からやや及び腰の姿勢だったようだ。しかし、クラブ側からの丁寧な説明を受けてその印象を変えた。むしろ、かたわらからでも伝わるチームのアットホームな雰囲気に惹かれてゆく。

 決定打は、2019年にあったある公式戦だったという。

 その試合では、自身を誘ってくれていたふたつのチームが対戦。多くの同級生が進路決定に目星をつけ始める時期だったのもあってか、「勝った方に行こう」と結果に注目した。

 ところがSNSをのぞくと、その思いを一転させてしまう。小鍛冶の目に映ったのは、敗れたブレイブルーパスの選手が悔し涙を流している写真だった。

「それを見て、何か、心を打たれたというか…」

 感情を揺さぶられて、自らの道を決めた。決断は…。

「大正解だったっす」

 正式に加わる2021年の春よりも前に、当時の湯原祐希FWコーチに知己を得た。2015年のワールドカップ・イングランド大会の日本代表でもある国内屈指のスクラムドクターから、同氏の逝去する直前の2020年夏頃にも指導を受けられた。

 いまは、サム・ワード新FWコーチとの1対1での面談を重ねる。おかげで今季開幕時と比べ、スクラム時の他選手との一体化に手ごたえをつかめるようになった。

 ブレイブルーパスの雰囲気が好きだ。熱く、明るく、めりはりが効いているからだ。大学時代の同級生でもあるSO兼FBの松永拓朗とは、ブレイブルーパスは「天理に似ている」と話すという。

「練習の雰囲気はピリッとしていて、それが終わったら楽しくあほみたいな話をしたり、『お前、さっきのあのプレー、××やったで』と(改善点を)教え合ったり。さっきまでバチバチにやり合っていたのに、その後はめっちゃ仲いいやん! みたいな」

 特に左PRの藤野佑磨、HOの森太志は、スクラム練習後に事細かにアドバイスをしてくれるそう。森に至っては、相手側に回ってぶつかり合いながらも助言を授けられる。

 今度の取材では、スマートフォンの液晶部分をオンラインの画面越しに示すことがあった。気に入って保存したという、FLのリーチ マイケルのタックルシーンを記者に見せるためだ。とにかく、しきりにチーム愛を語った。

 日本代表入りへも「一貫性を持ってプレーしたい」と意欲を示す新星はまず、大好きなクラブの一員として頂点にたどり着きたい。

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