黄の矢がいくつも赤いジャージーに刺さった。
17-0。YOKOHAMA TKM(以下、TKM)が東京山九フェニックス(以下、フェニックス)に完封勝ちして初めての優勝を手にした。
4月23日、24日におこなわれた太陽生命ウィメンズセブンズシリーズ熊谷大会。
同シリーズの今季第1戦で頂点に立ったTKMは、(2019年シリーズの秋田大会以来)2度目の決勝進出でついに感激を味わった。
プール戦でB組に入ったTKMは、初日は2勝1敗で同組2位。アルカス熊谷、四国大学には勝ったものの、フェニックスには0-31と完敗。
その相手を再戦で破ったのだから価値がある。
2日目は前日の悔しさを晴らそうと気持ちが充実していた。
カップトーナメント初戦で日体大女子に39-0と勝つと、準決勝でビッグパフォーマンスを見せた。
2019年、2021年と年間総合優勝を果たして連覇中(2020年はコロナ禍のためシリーズ中止)の、ながとブルーエンジェルスに24-19と競り勝つ。
先制後、追いつかれても突き放し、再度同点とされる展開で勝ち越した。粘りある戦いぶりにチームの結束が感じられた。
準決勝で大仕事を見せたチームは、そこで気を緩めることなく、ファイナルでも「チャレンジしよう」(松永美穂主将)のメンタルで意思統一された戦いを見せた。
光ったのはディフェンスだ。
攻撃力の高いフェニックスの好ランナーたちに体をぶつけ、動き回り、ブレイクダウンでボールに絡み続けた。
前半は7分に奪った内海春菜子のトライ、新原響のコンバージョンキックで奪った7点だけ。
僅差でラスト7分に挑んだ。
後半も運動量、集中力は落ちなかった。
攻め込まれても必死に戻り、圧力をかけてミスを誘う。5分にはスクラムから継続して攻め続け、最後はアテカ・レイヤモがインゴールに入った(5分/12-0)。
直後のリスタート時、キックオフボールの争奪戦でこぼれたボールを手にしたグレイス・ククタイが左サイドを駆け上がりトライ。17-0として勝負を決めた。
最後まで一体感があった。
試合後、松永主将は「これまでやってきたことすべての結果が出た」と、優勝の喜びをあらわした。
大会MVPに選ばれたククタイはニュージーランド、オークランドの出身。加わったチームですぐに手にした栄誉に笑顔。「各チームのプレーレベルも含め、この大会は素晴らしい」と話した。
各クラブに新戦力、新指導陣の顔が見られるとともに、ベテランの味のあるプレーも見られた2022年のシリーズ初戦。
静岡、鈴鹿、初開催の弘前と続く大会は、それぞれの地で優勝チームが変わるかもしれない。
6月19日、弘前で年間王者となるのは何色のジャージーだろう。