ジャパンラグビーリーグワン2022(ディビジョン1)の前半戦を9位で折り返したコベルコ神戸スティーラーズにとって、プレーオフ進出へ向けての救世主となるか。
シーズン途中の3月に加入が発表された南アフリカ代表のルカニョ・アムが来日し、10日にチームに合流。オンラインで入団会見をおこなった。
「チームに合流することができて本当に嬉しいです。これから一緒にラグビーをするのが楽しみです」
南アフリカ代表“スプリングボックス”で26キャップを獲得している28歳。2019年のワールドカップ優勝メンバーである。現在、世界最高のアウトサイドセンターのひとりと称えられる。来日直前まで母国のシャークスでプレーし、欧州クラブとも一緒に戦うユナイテッド・ラグビーチャンピオンシップにおいて、2月の南ア最優秀選手に選ばれた。
コベルコ神戸スティーラーズからは昨年末にオファーをもらっていたという。リーグワンにはシーズンはじめから参加するつもりだったが、新型コロナウイルス感染拡大の影響により入国が制限されていたため、なかなか日本に来ることができず、シーズン途中での入団となった。
長く在籍するシャークスとは2025年までの新たな3年契約を結んだばかりで、スティーラーズでプレーするのは約2か月間と短期だが、契約期間の今シーズン最後まで、ベストを尽くすつもりだ。
「2019年のワールドカップで来日したとき、日本の人々や文化に触れて楽しかったのを覚えています。なので、今回日本に来るチャンスをもらって、決断は簡単でした。スティーラーズのプレースタイルは自分に合っていると思ったのも入団を決めた理由です」
Xファクターとして期待されていることを自覚する。プラスアルファをスティーラーズにもたらしたい。
「シーズンの途中からチームに合流したので、まず一刻も早く、チームのサインプレーを覚えなければいけないと思っています。チームメイトのことを理解することも必要。一緒にいいプレーをしたいと思っています。自分の強みをぜひ、試合のなかで発揮したいです」
スティーラーズは8節を終えた時点で2勝6敗(新型コロナの影響による2つの不戦敗を含む)、12チーム中9位と苦しんでいる。上位4チームが臨めるプレーオフ進出へ向けては厳しい状況だが、過去の試合をチェックしたというアムは、アンラッキーな場面が何回かあったと分析。それでも、ダイナミックなプレースタイルを持っているスティーラーズには魅力を感じており、自分に合っていて、「すぐに慣れそうな気はしています」と語った。
「バランスをもってプレーしたいと思っています。そのためにはチームメイトのこともよく理解しないといけない。自分の持ち味は、スペースを作ること。アウトサイドバックス(WTB・FB)が走り込めるようなスペースを作ることが自分の強みだと思っています。同時に、自分がボールキャリーするときにはゲインラインを切ることもやっていきたいです」
身体的強さとスピードを兼ね備え、ハンドスキルも巧み。ハードなディフェンダーでもあり、プレッシャーのかかる場面でも落ち着いてプレーできる精神的強さもある。また、シャークスではキャプテンを務めており、リーダーシップへの評価も高い。間違いなく、世界トップクラスの選手である。
「南アフリカとは別の国でプレーすることで、個人的にいろいろ学べることもあると思います。新しい経験をすることになり、エキサイティングな気持ちでいっぱいです。ある意味、自分を試す期間でもあるかなと思いますが、自分のことよりもまず、ベストを尽くしてチームに貢献したいです」
リーグ後半戦で巻き返しを図るコベルコ神戸スティーラーズ。
アムは、3月20日の静岡ブルーレヴズ戦から出場可能となる。